イノベーションは「自責」によってしか成し得ない

イノベーションは「自責」によってしか成し得ない

イノベーターはエゴイストであるべきです。目の前にある「当たり前」といわれる常識や慣習、ルールに縛られず、自身の価値観から「世界はこうあるべき」と定義して、それを実現するためになるふり構わずその実現に向けて突き進む。その姿はまさにエゴイストそのものです。

スティーブ・ジョブズ、ジェフ・ベゾス、イーロン・マスク…。世界を大きく変えたイノベーターは皆エゴイストであるというのは、誰もが疑う余地はないはずです。

しかしこと日本においては、特に日本の大企業においては、エゴイストであることをよしとしません。周りに合わせて、角を取り丸くなり、平均点的人材になることが強制されます。それでイノベーションを実現することはできるのでしょうか。

そこで「世界一のエゴイストでなければ世界一のストライカーになれない」と掲げ、日本サッカーや実在の選手を卑下するような描写から話題になった、史上最もイカれたサッカー漫画「ブルーロック」から、未来を切り拓く資質を学びます。

「ブルーロック」に学ぶ未来を切り拓く資質

施設に入った潔世一は、300名が12名ずつにわかれた部屋に進み、そこで絵心甚八は「オニごっこ」をするよう指示します。

ボールに当たったがオニとなり、制限時間が終わりタイムアップの瞬間にオニだった一人が脱落する、と。

潔世一を含めた12名は、目的や意図もわからず、カウントダウンが始まります。

ブルーロックにサッカーと関係ないことなんか1つもねぇよ

その部屋の広さは16.5 × 40.32m
P・Aと同じサイズだ

全てのゴールの約75%はこの中から生まれる
ストライカーの仕事場だ

つまりここでの身体捌き(ポジショニング)が
ストライカーの価値の全てを決める…

そんな戦場で生き残れない人間に
ストライカーの才能は無い

壁にぶつかったとき、凡人は常にできない言い訳を探します。そしてそのできない言い訳によって自己正当化します。

自分を守るためにはそれで良いのかもしれません。減点方式の組織の中にあっては、それによって自らの責を免れることが高い評価の維持に繋がり、出世に繋がっていくのかもしれません。

しかしイノベーションとは、そんな守られた環境で成されるものではありません

どんな壁にぶつかろうとも、乗り越えるために必要な方法を必死で探す。自分に置かれた環境に言い訳はしない。他人のせいにはしない。その場でどの選択をすれば良いのは必至で考え抜く。

そして一度選択をしたのなら、それを正解にするために全力を尽くす。しかしそれが正解でないと感じたなら、その直感に従って軌道修正する。そしてまた愚直に歩みを進めていく。そして最後まで全力を尽くす。

イノベーターとはいかなる場面においても環境や誰か他人のせいにしたりせず、自らの責任において行動し続ける者です。すぐに言い訳をするような人間にイノベーターはつとまりません。

ストライカーとは、全責任を負い最後の1秒まで戦う人間のこと

思い出せ
お前がボールを当てられた最後の瞬間…
時計はまだ1秒残ってた…

動けないイガグリに当てれば生き残れたんだ
それをお前は見逃した…

言わば試合終了間際
ラストワンプレー…

ひしめき合うP・A内で
味方のシュートはゴールを外れ
お前を直撃した

その瞬間にお前は
諦めて敗北を覚悟した

だから気がつけなかったんだ

偶然にも目の前にこぼれる球に
ほんの少し脚を伸ばせば
届いたハズの勝利に

最後の最後の最後まで実現のために全力を尽くすことがイノベーターの本質です。結局のところ成功のために必要なことはたった一つなのです。成功するまで諦めずに行動し続ける。ただそれだけなのです。

ストライカーがタイムアップの最後の1秒まで足掻いてゴールを狙いにいくように、イノベーターは資金の最後の1円が尽きるまで足掻いて成功への道筋を探しにいくことが重要です。足掻いて足掻いて足掻くからこそ、ほんの少し手を伸ばせば掴めるチャンスを掴むことができるのです。

成功者と脱落者の違いはその紙一重なのです。最後の一歩を諦めずに踏み出せるか。それでも届かない成功のために、何度も何度も最後の一歩を踏み出し続けられるか。そこで諦めたものが脱落者になり、諦めずに挑み続けたものだけが成功者となるのです。

集団の常識に左右されない、己のためだけの勝利への執念

成功の道は茨の道です。そう簡単にゴールが決められないから、最高峰の舞台に立てるのは限られた人間だけ。つまり成功への道すがらには、数多くの失敗が待っています

何度失敗を繰り返しても諦めずに挑み続けること。
当たり前というその道を疑って、新しい道を切り拓くこと。
自分を信じて前へ前へと歩みを止めないこと。

それこそがイノベーターの姿です。

しかし集団心理とは恐ろしいもので、それは集団の中においては異常な行動に見られます。蔑まれ、馬鹿にされ、見下される。そんなことはやめた方がいいといわれる。

確かに集団の常識からしたら、現状維持こそが安定であり安心できる環境です。わざわざそこから飛び出すものなどクレイジー以外の何者でもありません。

しかしイノベーションはいつの時代も、クレイジーと呼ばれる人たちが成し遂げているのです。

AppleのThink Differentの広告の名文句がそれをまさに表しています。

クレージーな人たちがいる
はみ出し者、反逆者、厄介者と呼ばれる人達
場に馴染めない人達
物事をまるで違う目で見る人達
彼らは規則を嫌う
彼らは現状を肯定しない
彼らの言葉に心を打たれる人がいる
反対する人も 賞賛する人も けなす人もいる
しかし 彼らを無視することは誰にも出来ない
何故なら、彼らは物事を変えたからだ
彼らは人間を前進させた
彼らはクレージーと言われるが 私たちは天才だと思う
自分が世界を変えられると本気で信じる人達こそが
本当に世界を変えているのだから

Wikipedia「Think different」

だからイノベーターは常に理不尽、不条理、不合理にぶつかる

組織の論理、社会の論理、国家の論理…。それらに対するカウンターカルチャーこそがイノベーションの本質なのだから、当たり前です。

それを理不尽だと、不条理だと、不合理だと主張するだけなら誰にでもできるでしょう。しかしイノベーターはそこで立ち止まりません。その憤慨をイノベーションへのエネルギーへと変えていきます。そしてまた前へ前へと歩みを進めるのです。

理不尽ですよ
これが勝負の世界ですから。
お前らが軽々しく憧れてる
ワールドクラスのイノベーターは
こんな勝負の日常を
命懸けで生き抜いている

ブルーロック 第2話:「入寮」

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ビジネスクリエイター、インキュベーター、アクセラレーター、コンサルタント。エンジニアとして、PHP/HTML/CSSのマークアップ言語によるWebサイトの制作、SEOエンジニアリング、アクセス解析アナリストを経験した後、IT領域の技術/潮流をベースとしたエスタブリッシュ企業向けのコンサルタントを経て、複数のIT企業にて、Web/アプリ系、O2O系、IPライツ系の新規事業立ち上げに注力。事業開発から経営企画業務まで、事業および会社立ち上げに関する業務を幅広く経験。また、シードフェーズのベンチャー複数社の立ち上げへの参画や経営戦略・組織戦略・PR戦略へのアドバイザリー、メンター、複数のアクセラレーションプログラムのメンターも手がける。