イノベーションとは知性主義に対する、反知性主義の逆襲である

イノベーションとは知性主義に対する、反知性主義の逆襲である

✔︎ イノベーションは、既存の常識や規範に挑戦し、未来の新たな標準を創造するプロセス
✔︎ イノベーションは知性よりも、人間の意志や感情を重視し、予測不能な未来に向けて大胆なステップを踏み出すことで産まれる
✔︎ 世界を変革する製品やサービスを生み出したスティーブ・ジョブズやイーロン・マスクのような革新者は、まさに反知性主義といえる


イノベーションは「現在の当たり前を否定し、未来の当たり前を創出する」ことだ。それは社会やムラにおける普通、常識、規範、ルール、マナーを指すし、また同時に組織における行動原理や企業文化などをも指す。

つまりイノベーションとは、既存体制に対する挑戦とも言い換えられる。それが組織の中においてならばそれは「知性主義に対する反知性主義の逆襲」とも言えるのではないか。

主知主義(しゅちしゅぎ、英: intellectualism)または知性主義とは、人間の精神(魂)を「理知(知力・理由)」、「意志(意欲・気力)」、「感情(感動・欲望)」に三分割する見方[1]の中で、理知の働きを(意志や感情よりも)重視する哲学・神学・心理学・文学上の立場のこと。

「合理主義・理性主義」(英: rationalism)と類似した概念だが、理性そのものよりも、獲得が目指される「知識」「知性」の方に、より重きをおいた表現となっている。意志の働きを重視する主意主義(英: voluntarism)や、感情の働きを重視する主情主義(英: emotionalism)と対置される。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%BB%E7%9F%A5%E4%B8%BB%E7%BE%A9

反知性主義(はんちせいしゅぎ、英語: anti-intellectualism)または反主知主義(はんしゅちしゅぎ)とは、英語辞典によれば、知識人と知的理論に向けられる反対・敵意を指す言葉。

反知性主義・反主知主義という言葉は、知識人および知的活動への敵対的で嫌悪的な感覚を指し、また、実際的解決と現実理解において知力と理由は重要でないという信念・教義をも指す。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%8D%E7%9F%A5%E6%80%A7%E4%B8%BB%E7%BE%A9

簡単にいえば、知性主義は意志や感情よりも知性を重視するのに対し、反知性主義は知性に対し意志や感情を優位に置く主張だ。

未来は予測可能であるという前提に立ち、過去から現在への延長線上の先に未来を描き、その実現のための計画を立て、その計画通りに実行することを現場に求める既存事業の経営は、まさに知性主義といえる。知性によって未来を描こうとするからだ。

一方で、イノベーションを追求する新規事業は、反知性主義だ。人間の感情や起案者の意志に重きを置き、知性による論理を越えた先にあるジャンプアップした未来を実現することを追求する。

真っ暗闇で視界ゼロの底なし沼に、あるといわれているダイヤの原石を探すために迷わずに飛び込む。やっとの思いで掴んだ石を磨いても輝くことはほとんどない。奇跡のような確率を、それでも自らの意志と情熱と執念で手繰り寄せる。

知性主義に立てば、そんな無謀なロマンチシズムに身を委ねることなどもってのほかだろう。だからイノベーションは、新規事業は、「反知性主義」と言えるのではないか。

戦後の焼け野原から高度経済成長のように、市場が成長していくときには、その成長を疑うことなく知性主義で歩むことが、間違いなく自社の成長にも繋がっていたはずだ。だから知性主義による経営は間違ってなどいなかった。

しかし、未来が不確実で、予測することなど難しい現代において、そこに使える「知性」の役割が限りなく小さくなっている以上、寄って立つべきなのはやはり「反知性主義」だろう。

現に、世界を一夜にしてガラッと変えるイノベーションを起こした、スティーブ・ジョブズも、イーロン・マスクも、その行動原理をみればとてもじゃないが知性主義に寄って立っているとは言い難い。

イノベーションとは知性主義に対する、反知性主義の逆襲なのだ。いや、市場の成長が止まり、人口減少が確実視され市場の減衰が目に見えた未来の予測としてそこにある我が国においては、過去の経験に基づく知性は、もはや知性ではない。意志と感情によってしか未来を切り拓くことができない現代には、むしろ反知性こそが知性であると言えるのではないか。


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ビジネスクリエイター、インキュベーター、アクセラレーター、コンサルタント。エンジニアとして、PHP/HTML/CSSのマークアップ言語によるWebサイトの制作、SEOエンジニアリング、アクセス解析アナリストを経験した後、IT領域の技術/潮流をベースとしたエスタブリッシュ企業向けのコンサルタントを経て、複数のIT企業にて、Web/アプリ系、O2O系、IPライツ系の新規事業立ち上げに注力。事業開発から経営企画業務まで、事業および会社立ち上げに関する業務を幅広く経験。また、シードフェーズのベンチャー複数社の立ち上げへの参画や経営戦略・組織戦略・PR戦略へのアドバイザリー、メンター、複数のアクセラレーションプログラムのメンターも手がける。