✔︎ リクルートの「お前はどうしたいの?」は、単なる質問ではなく、組織文化を形成し維持する強力なツール
✔︎ 個人が自分のキャリアや人生について深く考え、明確な未来像を描くきっかけを提供する
✔︎ それに続く「じゃあやってみれば?」は、考えたことを実践に移し、失敗から学ぶ文化を促進する
強固な文化とは「行動パターン」が隅々まで行き渡ったもの
リクルートを象徴するものの1つとして「お前はどうしたいの?」という問いかけがある。これは単なる質問ではなく、強固な文化を創り維持するものだ。
結局なところ文化というものは、ミッションやバリュー、クレドなどといった綺麗なキャッチコピーを単に創るだけで、壁に貼るだけで創られるような簡単なものではない。
企業として「こういう行動をすべき」という理想の状態に繋がるような、またその根底にある考え方が、組織全体に染み付いていることが必要で、そのためには日々のコミュニケーションがそれらに基づいて行われていることが必要となる。
この「問いかけ」が日常的に行われているということは、日常的に文化にマッチしているかどうかの確認が行われているようなもので、行動パターンの定着には有意に働くだろう。
「問いかけ」は自らの内面と向き合うための強力なツール
リクルートの「お前はどうしたいの?」という問いかけは、強力なツールだ。
この問いかけは、個々人が自分自身のキャリアや人生について真剣に考えるきっかけを提供する。個人のミッション、ビジョン、パーパスについて深く考えさせるきっかけになっている。
結局のところ人は未来に対してはぼんやりとしか考えていないものだ。ぼんやりとしか考えていないものに辿り着くことはまずない。目指すべき未来は確固としてクリアにしなければならない。
問いかけは「返答」がセットだ。他者に説明しなければならないのだから、言語化をしなければならないのだ。つまりこれによって未来は確固としたクリアなものとして描かれることになる。
「ジブンゴト」と「ナカマゴト」と「ヨノナカゴト」を交差させる
言語化するために考えれば考えるほど、自分自身に問いかけることで、自分の内面に眠る真の願望や目標が明らかになる。そして仕事は「ジブンゴト」となり、情熱が燃え上がり、モチベーションが高まる。
それを発露し、上司やチームメンバーと議論を重ねると、次第に「ナカマゴト」として情熱の火が延焼していく。もしくは、単なる独りよがりなものだったことが明確になり、いかにチームを巻き込むべきかを考えさせるきっかけになる。
そしてそれを「仕事」にするには当然社会に価値を提供しなければならない。「ヨノナカゴト」としてそれが本当に価値があるのかも考えるきっかけになっている。
「お前はどうしたいの?」という問いかけは、重ねれば重ねるほど、「ジブンゴト」と「ナカマゴト」と「ヨノナカゴト」が交差したイノベーションへと繋がっていくのだ。
文化の定着には「実践」が必ずセットにならなければならない
単に考えただけでは机上の空論だ。それが正しかったのかどうかの確認もできない。机上で考えるだけ、会議室で話し合うだけでは、何の学びも得られない。
リクルートでは「お前はどうしたいの?」には「じゃあやってみれば?」はセットだという。上司がケツを拭くからと、実践に移すための後押しをしている。
「お前はどうしたいの?」がただ考えさせるだけの問いかけであれば、それはやがえて形骸化する。考えさせて、やらせてみて、失敗して、学ばせるから意味がある。
実際に行動に移すからで、理論が現実の形を取り始める。失敗しても、そこから学び、成長する機会となる。だから、イノベーションへと繋がっていく。
イノベーションに繋がる「考えるきっかけ」が日本企業には足りない
問いかけと行動のセットが全社的に徹底されると、自主性が高まり、モチベーションが向上し、自発的に挑戦する文化が間違いなく醸成される。組織全体にが取り入れることで、革新的なアイデアや新しい取り組みが生まれやすくなる。
リクルートのこの問いかけは、すべての日本企業が導入すべき口癖だと言っても過言ではないのではないか。自分自身に問いかけ、行動に移すことで、個人も組織も成長し、新しい可能性が広がる。
ボトムアップの自主性こそが、変化の激しい現代において、エッジからイノベーションを起こし未来を創るためには必要不可欠だ。
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