Q. 母親として子育てや家事などがあるため、
フルタイムの勤務が難しい中、
新規事業のメンバーに抜擢されました。
やりたい気持ちはあるのに、
不安や自己否定の気持ちに押し潰されそうになります。
「本当に両立できるのか?」
「迷惑をかけるのでは?」
という葛藤ばかりが募ります。
自分を信じて前に進むには、
何を拠り所にすれば良いのでしょうか?
✔︎ 不安とは「動いていないサイン」であり、まず行動を
✔︎ 経験・視点の違いがチームの噛み合わせを生み出す
✔︎ イノベーションに欲望は不可欠。全部手に入れろ
「不安」はあなたの敵ではなく、背中を押す味方である
「両立できるか?」という問いは、すべてに真摯であろうとする素晴らしい姿勢だ。同時に、その問いが強くなるほど、思考の迷路に入り込みやすい。
しかし、どんなに思い悩もうとも、未来が動き出すことはない。それは、思考が「動かない状態」を正当化してしまうからだ。
不安という感情は、「今、行動できていない」というサインだ。
何かを変えたければ、頭で考えるより先に、足を一歩前に出そう。
たとえ小さな一歩でも、風景は確実に変わる。行動こそが不安を情報に変え、視界を拓く。
最初から完璧にこなす必要はない。動きながら、学びながら、整えていけばいい。
燃え上がる情熱は、最初から持っていなくても構わない。情熱とは”持つもの”ではなく、”育てるもの”だ。
動き続ける中で、あなたの中に火が灯る瞬間が必ず訪れるから。
「両立」という言葉の呪縛を、いまこの瞬間に壊そう
「家庭と仕事の両立」。あまりにも多くの人が、この言葉に縛られている。
だが、両立とは、本当にバランスを取ることなのだろうか? 答えは「否」だ。バランスなど、幻想に過ぎない。
社会は、複雑系でありカオスだ。人生の混沌の中に意味を見出すプロセスがイノベーションである。
うまく「両立」をすると考えることそのものが違う。「全部を欲張る覚悟」を持てばいいだけだ。
仕事での成果、社会に対する貢献、子供の笑顔、パートナーとの時間、自分の成長——。
どれかを犠牲にするのではなく、すべてを追いかけよう。
人は「二兎を追う者は二兎を得ず」と言うが、それは「追った者」にだけ許される結果だ。二兎を追わない者が、二兎に届くことはない。
そもそも、自分が幸せでないものが、他人を幸せにすることなどできない。自分が幸せだからこそ、他人に幸せをお裾分けできるのだ。
イノベーションとは、他人を「より良い未来」という幸せに導くことそのものだ。カスタマー・ハピネスを実現するのがイノベーションだ。
だからこそ、自分も幸せにならなければならない。イノベーションに挑むなら、その全てを「欲張る」ことが、求められるベースのマインドセットなのだ。
あなたの「違和感」こそ、イノベーションの起点である
女性であること——そのことが、社会や組織の中で「疎外感」を感じることは多いだろう。「ガラスの天井」は至る所にある。
しかしだからこそ、イノベーションにおいては、そこで感じる“違和感”こそが、世界を変える出発点となる。
なぜなら、イノベーションとは「既存の常識への違和感」から始まるからである。
今あるルールがしっくりこない、当たり前が窮屈に感じる——それは、あなたにしか見えない“世界のほころび”であり、そこにこそ新しい価値を創出する入り口がある。
違和感を感じる自分は、そのままでいい。それは、世界を前に進める人だけが持つ特権だからだ。
男性社会だからこそ、女性が担える役割はある
イノベーションは、少人数での“全員野球”だ。
そこには、役職も性別も年齢も、もはや関係ない。必要なのは、個人としての“視点”と“熱量”である。
一方で、既存の組織は、同質的な文化の中に、同質的な人を採用し、同質的な人に育てる傾向が非常に強い。
それは既存事業の売上・利益を達成するためには強固な文化醸成にはなり得るが、イノベーションの機会はなくなっていく。
イノベーションは、チームにおいては全員が同じ目線では成立しえない。
それぞれの違いが、歯車のように噛み合ってこそ、前に進む大きな力となる。
その意味で、女性が担う役割は極めて重要だ。
なぜなら、多くの大企業は未だに“男性社会”であり、そこに異なるリズムと視点を持ち込める存在である「女性」は、全体の流れを変える触媒になりえるのだ。
それはもちろん「女性」という意味ではなく、多様な「個」という意味合いで語るべきものであるが、男性社会だからこそ、多様性の1つである「女性」は必要なピースであり、それによって、強くしなやかなチームの構築に繋がっていく。
それを前提とするならば、「子供を産み、育てる」という女性にしかできない1つの社会における機能を、両立してイノベーションに取り組むことに対して、全力でサポートすることは、むしろ男性側に求められる責務ではないだろうか。
ビジョンを語れ。「私なら、できる」と叫べ
イノベーターとして踏み出すために必要なのは、“根拠のない自信”である。
「私にできるわけがない」と感じることは、イノベーションに挑めば必ず訪れる瞬間だ。しかも何度も。
それが男性社会において挑もうとする女性であれば「両立」に不安を持つことも、容易に理解し共感できる。
だからこそ信じるのだ——“未来の自分”が、必ずできるようになっている可能性を。それこそが「自信」なのだ。
その信念は、数字や計画ではなく、「ビジョン」から生まれる。
社会をどう変えたいのか?
誰を幸せにしたいのか?
それはどのような状態にあるのか?
理想像(ビジョン)と存在意義(パーパス)を、自分自身の言葉で描く。
誰もが驚くような、あなたにしか見えない“未来”を、今こそ語ろう。
経験は「差」ではなく、「資産」である
子育て、介護、体調、引っ越し、配偶者の転勤——。
あらゆるライフイベントが、女性のキャリアを揺るがす。でも、それを“キャリアの断絶”と捉えるのではなく、“体験の蓄積”と見なそう。
過去の経験を「抽象化し、概念化し、構造化」する力。それが身につけば、あらゆる経験が“資産”に変わる。失敗も迷いも、あなたの価値になる。
そしてなにより、それらの経験は、あなた自身を“顧客”にも“共感の発信者”にも変える。
その視点でしか創れないプロダクト、スキーム、サービスがある。それこそが、あなたにしかできないイノベーションだ。
あなたが変わることで、未来は動き出す
世の中を変えたいと思うなら、まず自分の思考を変えよ。行動を変えよ。問いを変えよ。
家庭も、仕事も、夢も、全部手に入れようとするあなたを、誰も笑うことはできない。
なぜなら、あなたの挑戦は、あなたの子供や仲間、次の世代の希望になるからだ。
「女性だから」と言われたときこそ、こう言い返してほしい。
「私だから、創れる未来があるんです」
あなたの中にある違和感と願いが、世界を変える光になる。
欲張っていこう。
すべてを手に入れるまで、挑戦を止めるな。

