「ビジネスアイデア」と聞くと、誰しもがちゃんと儲かる形を考えなければならないと受け取るようで、そこで延々と悩むケースもよく見受けられます。
確かに「新規事業」ですから、最終的にはビジネスモデルが組み込まれていなければなりません。
しかし、最初はビジネスモデルなど考えなくて良いのです。むしろ考えないほうが良いのです。
①ビジネスの本質はCustomer Hapinessの追求
②ビジネスにおいて重要なのは課題があるか
③顧客や社会にとっての課題を解決し、その対価が売上だ
ビジネスの本質はCustomer Hapinessの追求
お金を稼ごうと思えば、すごくシンプルで簡単です。一番シンプルな方法が人を騙すこと、人から奪うこと。しかしそれでは顧客を幸せにはしていないわけですから、事業とはいえません。
事業の語源は、易経にあります。
化而裁之變、推而行之謂之通、擧而錯之天下之民謂之事業
易経「繫辞上伝」
(化してこれを裁する、これを変と謂い、推してこれを行う、これを通と謂い、挙げてこれを天下の民に錯く、これを事業と謂う)
時代の変化に応じて物事を切り盛りし、適切に対応して変化させ、さらに推進して物事を通じさせる。この変化の結果によって社会の道を整え、民を導くことを事業という。
本来、事業とは社会貢献を指すものであり、人々を幸福へと導くことであったのです。ビジネスを営むとはすなわち、Customer Hapinessの追求そのものなのです。
ビジネスにおいて重要なのは課題があるか
人は様々な場面において課題に直面しています。それぞれにおいて目指すべきHapinessがあるからこそ、今目の前の現実とのギャップが生じます。それこそが課題なのです。
その課題を人々は解決しようと何らかの行動はとっているはずです。そこにお金や時間もかけているでしょう。しかしそれでも解決しない課題は残ります。
それこそがビジネスチャンスなのです。ビジネスチャンスとは課題そのもののことを指します。
だからアイデアを考えるとはお金を稼ぐ方法を考えるのではなく、まず最初に課題を見つけることがアイデアを考えることとイコールなのです。
顧客や社会にとっての課題を解決し、その対価が売上だ
課題を見つけて、その解決策を見出し、それを提供してはじめてその対価として売り上げを手にすることができます。顧客がHapinessを手にした時の感謝の証が売り上げなのです。だからビジネスモデルを考えるのは後でいい。
まず課題を徹底的に深掘りして調査し、そこにおけるインサイトと徹底的に向き合う。そしてその解決策を仮説立てて実証し、それをプロダクトやサービスの形に落とし込む。それが顧客を幸せにするということが証明されてはじめて、その対価を受け取るのが本筋です。
顧客を幸せにもしていないのにお金を取るのは、詐欺まがいのビジネスになってしまいます。まず最初に顧客をどうやって幸せにしていくかを考えましょう。
新規事業が目指すべきなのは、10年20年先の社会をより良くし、今を生きる人たちの未来をより素晴らしいものにすることです。
大きなビジョンを思い描いて、それを実現することに邁進していきましょう。それが実現していれば、自ずとお金は儲かっているはずです。
お金を稼ぐことはアイデアを考える段階では棚上げにして問題ありません。また自分で考えられなくてもいいのです。
大きなビジョンが実現に向かうにつれ、ビジョンに本質的な意義があればあるほど、ビジネスモデルも、それを組み上げられる人材も、自然と集まってくるのですから。