アイデアは、素晴らしいものに仕上げるのではなく「出発点」として始めるべきであり、だからこそ、アイデアを見つけることを難しく考えてはいけません。アイデアを見つけることは簡単なんです。
なぜならば、考えなければならないのは事業計画でも、事業企画でもなく、アイデアなのだから。
アイデアは単なる「閃き」です。まず閃くことが重要で、それがビジネスとして成長するのか、世の中を大きく変えるようなイノベーションに繋がるかは二の次でいい。
まずは閃くことに重きをおけばいいのです。だからアイデアを見つけることは難しく考える必要はなく、簡単に「思いつく」ことから始めましょう。
①プロダクトから考えると難しくなる
②解決策から考えると難しくなる
③課題から考えればアイデアは簡単に見つかる
①プロダクトから考えると難しくなる
「アイデアを考えよう」と言われて、大抵の人はプロダクト(商品やサービス)からアイデアを考え始めます。しかし、そこから考え始めるのはとても難しいものです。
まず、人間は自分が知っているものしか知りません。プロダクトから考え始めると、どうしても世の中にすでにあるものを考えてしまう傾向があります。
そして、そこから考えを深めていっても、どんどん矮小化していってしまいます。今世の中にあってそれなりに流行っているものであれば、それなりの理由があります。そしてそのそれなりの理由は外から見るとわからないものです。
それを起点にして、差別化・差異化をしようと要素を入れ替えれば、それなりの理由のバランスが崩れることが往々にしてあります。そうして入れ替えるごとに九龍城化していき、最終的に提供価値は矮小になっていってしまうのです。
そしてそのドツボにハマった時、他の打ち手がないということもザラです。アイデアから考えると、思考が小手先に集中してしまうので、難しくなるのです。
②解決策から考えると難しくなる
解決策、つまりソリューションから考えるのもとても難しいものです。
ソリューションはよく「X for Y」というアナロジーで例えられます。インターネット黎明期には例えば「Movies for Flickr(動画のためのFlickr/写真共有サービス)」というコンセプトからYouTubeが生まれています。これはソリューションから始めたケースです。
しかし、今インターネット上には多種多様なサービスが溢れかえっています。ソリューションから始めてサービスを定義してしまっては、それは誰が使うのかわからないサービスが生まれます。
これは「SISP(Solution In Search of a Problem)=問題を探す解決策」と呼ばれており、実際にソリューションから始めても、問題を見つけることはできず、顧客も見つけることができないというドツボにハマるケースが往々にしてあります。
アイデアを検討するには、始めるべき順序があるのです。
③課題から考えればアイデアは簡単に見つかる
世の中にはたくさんの課題があります。そこで苦しんでいる人たちが大勢います。そうつまり解決しなければならない課題が、世の中にはたくさんあるのです。
社会に存在する課題を、新たなマーケット機会に変換し、ビジネスの機会に転換することこそがイノベーションです。
つまり、資本主義が行き詰まり、デジタル、コロナによって社会環境が大きく変化する中で、社会課題が数多く表出している今こそ、イノベーションを起こすべき時であり、イノベーションの種を見つけるチャンスが数多くあるのです。
世の中の認識が、「コップに水が半分入っている」から「半分空である」に変わるとき、イノベーションの機会が生まれる
ピーター・ドラッガー
プロダクトからでも、ソリューションからでもない。テクノロジーやマーケットからでもない。アイデアは課題から始めましょう。
課題に気付くことは誰にでもできます。その課題を解決したいと思った時に始めて、どうやって解決するのか(Problem/Solution Fit)、それはどういうプロダクトにするのか(Solution/Product Fit)を考えていけば良いのです。
検討に行きづまっても、課題を軸にピボットすれば、矮小化せずストレートに課題を解決する方法に辿り着く可能性があります。そうでなければ、小手先でのピボットに終始してしまい、どんどん矮小化していってしまうのです。
もし課題を見つけること自体に苦労しているようであれば、あなたはまだ世界を知らないだけです。自分が住んでいる「井戸」は狭いのだと認識して、井戸から飛び出して世界を知る旅に出ましょう。