Q. 「やりたい気持ちはあるけど、理由が曖昧」
「気になるけど、自信がない」
——そんな“モヤモヤ”の状態でも、
新規事業の公募に応募していいの?
迷い続ける自分の背中を押してくれる言葉がほしい。
✔︎ モヤモヤは、未来のあなたから届いた“行動開始のサイン”
✔︎ 志望動機の完成度より、「心が動いている」ことが最大のエンジンになる
✔︎ 新規事業は、理屈より執念。火を絶やさず燃やし続けられるかが問われる
「迷っている」は、すでに“心が動いている”ということ
「興味がある。でも、自信がない」「想いはある。でも言語化できない」——その迷いが生まれた時点で、すでにあなたの中では何かが始まっている。人は、まったく興味がないものに迷いなど感じない。つまり、「気になって仕方がない」という感情こそが、あなたの行動を駆動する初期エネルギーなのである。
新規事業の現場は、答えがない世界だ。準備が整ってからでは遅い。モヤモヤは未知の領域に触れた証であり、あなたの“未来の情熱”とつながる一筋のシグナルと捉えるべきだ。
自信がないのは正常。完璧な論理があるならそれはすでに誰かがやっているものになり、レッドオーシャンと呼ばれる競合との激しい戦いとなるだろう。迷いは、むしろ“未踏領域に足を踏み入れようとしている証拠”であり、“イノベーションの萌芽”なのだ。
曖昧な志望動機より、体温のあるメッセージを
新規事業の公募へ応募する書類や面談は「正解」を言う場ではない。壁打ちのメンタリングの場ももちろんそうだ。問われているのは「なぜ気になるのか?」「なぜ今、動き出したのか?」という熱源の所在だ。
たとえロジックが整っていなくても「気になって仕方がない」「どうしてもやってみたい」——その揺れ動く感情を、あなたの言葉で語ればいい。友人に語りかけるように、正直に、誠実に伝えよう。
志望動機の完成度よりも「心が動いた」という一点が、最大の差別化要素になる。熱を持って語る人に、人は惹かれる。事業も、仲間も、未来も。
自信がない? それでいい。それが「伸びしろ」だ
誰もやったことのないことに挑むのが、新規事業だ。そもそも、最初から自信がある方が不自然である。むしろ、「このままじゃダメかもしれない」と不安になるからこそ、人は学び、成長し、仲間を求める。
「自信がないからやめておこう」ではなく、「自信がないからこそやってみる」——このマインドセットの切り替えが、未来の自分を育てる第一歩になる。
自信を「自らを信じる」と捉えれば、過去の実績が必要となる。そうではない。自信とは「未来の自分が必ずできるのだという可能性を信じる」と捉えれば、エヴィデンスはいらないくなる。誰しもが未来へは無限大の可能性を秘めているのだから。
イノベーションは、完璧な設計図からスタートするのではない。描いて、試して、修正する。迷いや不安は、その営みを始めるきっかけなのだ。
「まだ早い」ことはない。「今だからこそ」が動くべき
「あと1年、準備してから」「経験が足りないかも」——それらは、すべて理性的なようでいて、挑戦を先延ばしにする呪文でもあるのだ。
挑戦の最適なタイミングは“気になって仕方がないとき”だ。そのモヤモヤは、未来の自分からの「そろそろ来いよ」というサインだ。時間は戻らない。行動しなかった人には「あの時やっておけばよかった」という後悔だけが残る。
スタートは、気持ちが動いたその瞬間でいい。むしろ、その瞬間しか、始め時は存在しない。
モヤモヤは、ムーンショットの火種である
イノベーションとは、自分が思い描く“理想の未来”を実現するために行うものだ。しかしその“理想の未来”は、世界を変えるイノベーションを起こした誰もが最初から明確に言語化されているわけではない。
むしろ、最初は「なんだか気になる」「ちょっと面白そう」——そんな曖昧なモヤモヤから始まる。スティーブ・ジョブズも、ジェフ・ベゾスも、イーロン・マスクも、誰にも理解されなかったモヤモヤを信じて突き進んだ。だからこそ新しい価値を社会に提供できた。
もちろん日本の大手企業の創業者たちもそうだ。自分の会社の社史を読んでみればわかる。最初から今の会社の状態を思い描いて創業はしていない。最初はみんな曖昧なモヤモヤから始まっているのだ。
あなたのモヤモヤも、決して間違っていない。それは、まだ言語化されていない「未来の種」だ。言葉にできなくても、動いていい。むしろ、動くことでしか、それは芽吹かないし、花は咲かない。
だからこそ、あなたのその感情を信じていい。「そのモヤモヤ、応募していい。」むしろ、それこそが、新しい世界を創る最初の火種なのだ。
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