新規事業やイノベーションを推進するためには、いかなる場面においても常に2つの顔を持つ必要があります。
フェーズごとにそのアクションは違えど、2つの顔を自分の中に内包しなければ、事業創造をすることは難しいと言っても過言ではありません。
妄想と現実
過去の延長線上ではなく、ジャンプアップした未来を描くには、妄想は欠かせません。誰も見たことのない未来は積み重ねるだけで辿り着けることはありませんから。
一方で、現実に帰着できない妄想には意味がありません。ただの夢物語の妄想から始まるイノベーションは、よく「早すぎた」という結果に陥ることは誰しもが目にしたことがあるでしょう。
現実に起きているトレンドから未来への変化の予兆を見つけ、社会がその変化を知覚し受容し現実化するまでのそれまでのタイムラグに全力を注ぐことがイノベーションそのものであるのです。
拡散と収束
未来の可能性は無限にある中で、どの選択肢の道を進めばいいかは誰にも分からない。だからこそ、その選択肢の数を増やして多くのシナリオを検討することが重要だ。
そのシナリオを検討する中で、得られたインサイトを元に一つのシナリオに絞り込んでいく。
そこで必要なのは「仮置き」の意識だ。どのシナリオが正しいかのエヴィデンスが揃って選択をできることは絶対にない。だからといって無限にある選択肢を同時に検討し続けることなんてできない。仮置きで深掘りをすることで得られたインサイトを元に、前へ前へと進んでいくのだ。
もちろんそれは仮置きにすぎないのだから、そのシナリオに固執してはいけない。常に複数のシナリオに可能性を広げていく。拡散と収束の繰り返しこそがイノベーションプロセスなのだ。
冷静と情熱
インサイトは冷静に見定めなければなりません。検証結果が良くても悪くても冷静に判断する必要があります。
しかし冷静にだけ物事を捉えらていては、前に進むべきではないという判断だけが残るでしょう。
未来をより良くするという大きな大きなビジョンを描き、それに強い情熱を持って走り続ける。時には冷静さを失って、狂信的に突っ走ることも必要になる。
悲観と楽観
未来は楽観的に構想する。
計画は悲観的に立案する。
行動は楽観的に実行する。
現実は悲観的に分析する。
誰も見たことのない未来を創るには、「こうありたい」と超楽観的に無限の可能性を信じて、前へ前へと進み続けることが重要です。必ずできると信じて、着実に実行をし続けなければなりません。
しかし、なんとしてもやり遂げるのだという意志を持つならば、同時に起こりうるリスクを全て想定するために悲観的に計画を立て、実行結果は悲観的に分析し、慎重に考え尽くさねばなりません。
まだ誰も見ない未来を定義し、その未来に邁進するからこそ、2つの顔でその戦略や計画、行動を見渡すことで、確実性を引き上げていくことが必要なのです。
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