新規事業の最初の一歩は「閃き」から始まります。
もちろん新規事業そのものの定義にもよるのですが、その目的を「10~20年先の未来の当たり前を作る」とするのであれば、なおのこと「閃き」を重要視しなければなりません。
人間のこれまでのイノベーションの歩みの歴史を振り返ってみれば、それは一目瞭然です。
幾度となく繰り返されてきた「産業革命」は、常に過去の延長線上にはありません。過去から連なる現在に生きている私たちが、革命以後の世界には当たり前のように辿り着いたわけではないのです。
それらは必ず誰か1人のクレイジーと呼ばれるような妄想から始まっています。過去の延長線上の誰しもが思いつく未来とかけ離れているから、彼らはクレイジーと呼ばれたのです。
そのジャンプアップした未来への妄想はどうやって行うのか。
最近世の中が変わったことを探して、その変化があったからこそ可能になるアイデアを探すというのも1つの手法です。つまり「トレンドから考える」のです。
新しい技術、新しい開発者プラットフォーム、新しい法律、新しい規制、新しい社会課題、新しい顧客の行動や生活様式…。
ボクらは複雑系の中でいきています。いくつもの変化が積み重なることで、大きな変化の畝りへと至るのです。その変化の予兆を見逃してはなりません。
例えば、米国に「PlanGrid」というスタートアップがありました。彼らは紙の代わりに「タブレットで設計図をみる」というサービスを展開しています。今でこそ当たり前のように思えることですが、もちろんタブレットが存在しない世界では当たり前のことではありませんでした。PlanGridはAppleがiPadを作ったという新たなトレンドをもとにアイデアを閃いたのです。
イノベーションを0→1と表現するので、みな勘違いしています。イノベーションのアイデアはゼロから生まれるのではありません。
イノベーションとは、変化の予兆に「気付き」、それを利用することに他ならないのです。そして、社会がその変化を知覚し受容する、それまでのタイムラグに全力を注ぐことなのです。
かつてのプランニングでは、何が起こりそうかを考えてよかった。
ピーター・ドラッカー
これに対し、不確実性の下でのプランニングでは、既に起こったもののうち、未来を創り出すものは何かを問わなければならない