新規事業と新製品の一番大きな違いは、提供する価値の在り方にあります。
新製品は、既存製品の延長線にあります。機能や仕様の改良や改善、アップデートとなりますので、ターゲットはマスになります。
マスをターゲットにすれば、提供価値そのものはコモディティ化しています。それはレッドオーシャンであり、低価格での競争となり、すでに顧客を抱えていたり、広告宣伝費を最初から多く使えるマーケットリーダーに勝ち筋があります。
レッドオーシャンは「みんなにとって良いものは、みんなにとってどうでも良いもの」という世界。新規事業として、強いマーケットリーダーがいる領域に踏み込めば、差別化が難しく、勝ち筋を見い出すのは難儀です。
既存の製品では解決しきれない課題を解決することによって、圧倒的な提供価値を作り出すことが新規事業の本質です。いわばレッドオーシャンからブルーオーシャンを見出すこと。
その提供価値は、ターゲットを絞り込めば絞り込むほど強くなっていきます。
そうすることで高価格でも買ってくれ、広告宣伝費を使わずともエヴァンジェリストが生まれ、コミュニティ化し、それを積み重ねることでブランド化がなされていく。ニッチであるからこそ、SNS時代には向いているブランド醸成ができるのです。
もちろん新規事業が必ずしもマスを目指さないという話ではありません。最初からマスを目指すのではなく、戦略的に最初はニッチから始めるということです。それはドミノ倒しの最初のピースを倒すイメージです。
ターゲットを絞り込めば絞り込むニッチから攻めるからこそ、高いエンゲージメントを獲得したブランドを構築することができ、いくらでもアップセル/クロスセルできるし、横展開も可能です。そこに成長戦略は描けるのです。