「新規事業のアイデアを考えましょう」と言われた時、皆さんは何から始めますか?
トレンドのリサーチ、スタートアップの事例収集、KOL(Key Opinion Leader;業界の先駆者)へのインタビュー、ブレイン・ストーミング的なディスカッション・・・。
考えたり調べた内容を書き出して、KJ法で整理して、マンダラーとで拡散して、希望点列挙法・欠点列挙法で深掘りして、オズボーンのチェックリストで転回して・・・。
もちろんどれもアイデアを創出するために有益な手法です。一方、デスクに座って作業をただひたすらに繰り返したとしてもアイデアが生まれてくるわけではありません。
アイデアをゼロ考えるにあたって、意識すべき3つのポイントについてお伝えします。
①アイデアは既存の要素の組み合わせ
②直感と直観による「閃き」がアイデアの種をうむ
③アイデアに根拠はいらない
アイデアは既存の要素の組み合わせ
アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない
『アイデアのつくり方』ジェームス W.ヤング
1940年に出版されてから今でも売れ続けている名著では、アイデアをこう定義しています。
人類がこれまでの長い歴史を積み重ねる中で、様々なものが生まれてきました。大抵のことは他の誰かが試行錯誤を繰り返した先にあります。
つまり「アイデアを考える」とはゼロから物事を生み出すことではなく、世の中にすでに存在しているものを組み合わせる、いわば「編集」こそがアイデア創出に重要になるのです。
誰もが知っているものだけれど、一見何の関係性もない異なる物事同士にある関連性をうまく見つけ出して新しい組み合わせを創り出すことこそが新しいアイデアであり、優れたアイデアになります。
将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。
『ハングリーであれ。愚か者であれ』スティーブ・ジョブズ
もちろんそうなるとアイデアは何も無いところから突然湧き出るものでは無いことがわかります。土台がなければ組み合わせることができません。
アイデアの土台は情報量です。そのため自分の仕事に関わるものや興味の範囲に限らず、幅広い情報を仕入れていることが必要になります。その量が増え、また同時に質が高まれば高まるほど、組み合わさってアイデアが出てきやすくなります。
直感と直観による「閃き」がアイデアの種をうむ
情報を集めてロジカルに考えることが必ずしもアイデアをうむとは限りません。ほとんどの場合、ロジカルに考えてもアイデアが生まれないことがほとんどです。
なぜならばイノベーティブなアイデアであればあるほど、今の「当たり前」では組み合わさらないものが組み合わさったときにうまれるものだからで、ロジックで組み上がった先にそれは無いからです。
アイデアを考えるときは、アイデアを考えることをやめましょう。
人間の脳というのはよくできているもので、情報を大量に仕入れたとき、勝手にシナプスが繋ぎ合わせてくれることがあります。それが直感であり直観です。
直感とは「感覚的に物事を瞬時に感じとること」のことで、直観とは「五感的感覚も科学的推理も用いず直接に対象やその本質を捉える認識能力」のことです。
直感と直観をフル稼働する脳の状態があります。それは「ひとりでいる」こと。散歩をしていたり、お風呂に入っていたり、サーフィンで波待ちしていたり・・・。アイデアはひとりでぼーっとしているときに、雷に打たれるように閃くものなのです。
アイデアに根拠はいらない
アイデアは直感と直観が思い付かせるものです。そしてアイデアは今の当たり前では組み合わさらないものが組み合わさったときにうまれるものです。
だから、ロジックは整っていなくて当然なのです。アイデアに根拠はないのです。アイデアは他人に理解できる状態で湧いてくるものではないのです。
根拠からつくっては今の当たり前に乗っ取ったアイデアしか生まれません。それは誰にでも思いつくものでもあるわけで、真新しさはなく、戦うとしたら価格競争にしかなりません。
根拠がないからこそアイデアだ、といっても過言ではないのです。
アイデアを出すことにかしこまる必要はありません。またしっかりと考え尽くしている必要もないのです。
もちろんビジネスモデルまで最初からバシッとハマるアイデアを思いつけたら最高です。でもそんなものを思いついている人は、この世にほとんど存在しないのです。
どんなに小粒でもふと思いついたものをきっかけに、そこから広げていった先にしか素晴らしいビジネスは生まれません。どんな素晴らしいアイデアも、最初はふとした小さな閃きから始まっているのです。
さあ、最初のきっかけは「閃き」からはじめましょう。