アイデアは「妄想と風呂敷を広げる」ことから始まる

これはいける!アイデアを閃いたあと、そのアイデアをどうやってビジネスにしていくかを考えるでしょう。しかし実際は全然ビジネスに組み立てられない…ということは多いです。

最初に思いついたアイデアはあくまでとっかかりです。最初のアイデアがそのままビジネスとして確立することはほとんどありません。けれど、人間は自分の成果を手放すことを無意識に嫌がる傾向があり、どうしても最初のアイデアに固執してしまいがちです。

最初のアイデアの本質的なインサイトは、直感・直観に従うべきです。一方で、それを事業企画まで昇華させるためには、アイデアの本質をブラす必要はありませんが、それを実現する手段の選択肢は広げるべきなのです。

①妄想でビジョンをムーンショットする
②風呂敷をとにかく広げる
③畳むことを最初から考えない


妄想でビジョンをムーンショットする

最初に思いついたアイデアから広げるべき思考実験は、そのアイデアが実現した未来のイメージです。ビジョンやコンセプトという形で、どういう未来を目指すのかというところに思考を巡らしましょう

今の企業がリーチできる顧客が、今の企業が出している製品群や保有するアセットでは辿り着けないほどのハッピーに辿り着いた状態は何なのかを考えます。カスタマー・サティスファクション(顧客満足)だけでなく、カスタマー・サクセス(顧客成功)を超えて、カスタマー・ハピネス(顧客幸福)が何なのかを徹底的に考えます

目指すのは、誰も到達したことのない未知の世界なので、実現性や根拠などは必要ありません。徹底的にムーンショットな未来を思い描くのです。

キューバ危機に代表されるように米ソの覇権争いが激化していた1960年代、ソ連は宇宙開発では米国よりも先を走っていました。動物を宇宙に送り、有人飛行を成し遂げるなど、米国よりもエポックメイキングな成果を残していたのです。

アメリカ大統領のジョン・F・ケネディは劣勢を挽回すべく、米国民に向けて語りかけます。

我が国は目標の達成に全力を傾ける。1960年代が終わる前に、月面に人類を着陸させ、無事に地球に帰還させるという目標である

ジョン・F・ケネディ

米国民だけでなく、世界中の人たちがその発言に夢を膨らませました。そして結果的に月面着陸を成し遂げたのです。

それ以来、困難で費用と時間がかかる取り組みであるけれど、実現すれば大きなインパクトが期待できるというイノベーションを「ムーンショット」と呼ぶようになりました。

人を魅了し奮い立たせ(Inspire)、信憑性があり(Credible)、創意あふれる斬新な(Imaginative)ムーンショットを描きましょう


風呂敷をとにかく広げる

イノベーションのための最初の一歩ですから、夢は大きく持ちましょう。風呂敷はとにかく広げていくのです。

事業を作るためには「選択と集中」は欠かせません。時間、お金、労働力などリソースには限りはありますから、当然のことですが、最初から広げた風呂敷の全てを実行できるわけではありません。

しかし、これから一歩を踏み出そうとするタイミングでは、手元に選択肢は幅広く持っているべきです。未来への選択肢をまずは手元に並べましょう

また事業を作るということは、三歩進んで二歩下がることに他なりません。時には三歩進んだら三歩下がり足踏みしている感覚に陥ることも往々にしてありますし、四歩五歩と下がっていると感じることもあります。

その時に取れる選択肢は並べておけば、足踏みをすることは少なくなります。すぐに次の選択肢を進むという判断ができますから。

まずスタート地点に立つときは、未来の可能性にワクワクすることから始めましょう。とにもかくにも大風呂敷を広げたものが、進んだその先で壁にぶつかった時に進む道を幅広く持つことができるのです。


畳むことを最初から考えない

選択と集中をするのは一つ一つ実証をしてから絞っていきましょう。最初から畳む方法を考える必要はありません。

最初から畳む方法を考えれば、未来への風呂敷は大きく広げることはできません。どうやってビジネスにするかという現実的な方法を考えれば、アイデアはとてつもなく矮小化してしまうでしょう。

未来は不確実です。誰も予測することはできません。現時点で誰も評価することができない未来への選択肢は、現実的に考えるのではなく、ビジョナリーに大きく広げるべきなのです。

畳むことを考えず、遠大に壮大にビジョンを広げていきましょう


既存事業に取り組んでいる人は、目の前で現実的に成果を出すための仕事が中心になります。既存事業で成果を出している人であればあるほど、現実的にどうするかを考える思考が染みついています

もちろん既存事業ではそれでいいのです。現在の延長線上の未来をどう創るかを考えれば、現在から積み上げていくことが必要ですから、現実的にどうするかが重要になります。

しかし新規事業とは、誰もみたことがない未来を切り拓くことです。現実的にどうかを考えるのは後にして、まず最初は未来を妄想してワクワクすることから始めましょう

ビジネスクリエイター、インキュベーター、アクセラレーター、コンサルタント。エンジニアとして、PHP/HTML/CSSのマークアップ言語によるWebサイトの制作、SEOエンジニアリング、アクセス解析アナリストを経験した後、IT領域の技術/潮流をベースとしたエスタブリッシュ企業向けのコンサルタントを経て、複数のIT企業にて、Web/アプリ系、O2O系、IPライツ系の新規事業立ち上げに注力。事業開発から経営企画業務まで、事業および会社立ち上げに関する業務を幅広く経験。また、シードフェーズのベンチャー複数社の立ち上げへの参画や経営戦略・組織戦略・PR戦略へのアドバイザリー、メンター、複数のアクセラレーションプログラムのメンターも手がける。