現在の新規事業界隈における「デザイン思考」のように流行りのメソッドが出てくると、必ずといっていいほど「原理主義者」が出てきます。
デザイン思考原理主義者は「顧客起点」であることにこだわります。アイデアは必ず「不」から考えなければならない、と。
私は「アイデアを顧客起点で考えなければならないか」と問われれば、「そんなことはありません」と答えます。
アイデアの発想は自由であるべきだからです。
テクノロジー起点、マーケット起点、社会課題起点、自分の欲しいもの起点など、様々な観点から発想することはできます。アイデアはなにものにも縛られることなく発想すべきです。常識や当たり前、固定観念などに縛られることなく自由に発想しましょう。
なぜならば、アイデアの発想とはゼロから生まれるものではないからです。アイデアの発想とはConnecting the Dotsです。既知と既知を今までにない価値観で組み上げてこそ、アイデアは発想されます。
だから「顧客起点」といった特定のモノの見方に縛られてはいけないのです。
また同時にアイデアの発想は顧客から始めるべきではないともいえます。なぜならば、顧客起点でアイデアを考えてしまうと、自分の見える範囲でしか発想できなくなり、アイデアが矮小化してしまう恐れがあるためです。
人間は誰しも井の中の蛙であり、その狭い井戸から見渡せる範囲のアイデアでは、イノベーティブなところまで発想を飛ばすことができないからです。しかも、同じ組織の近しい情報源のメンバーと議論するならばなおのことです。
視座を高め、視野を広げ、視角を巡らせ、自由に発想しましょう。
ただし発想したアイデアを育てるためには、顧客起点であるべきです。
顧客が本質的に求めているものを理解し、そこにある深い課題を推察し、未来のマーケットを妄想することでしか、イノベーティブなアイデアを創発することには繋がりません。
それこそがデザイン思考の本質です。デザイン思考はアイデアの発想に使うべきメソッドではありません。
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