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ビジョンが合わないメンバーは、チームから外すべきですか?

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ビジョンが合わないメンバーは、チームから外すべきですか?

Q. チームで活動している中で、メンバーとビジョンのズレを感じ始めました。このまま違和感を抱えながら共に進むべきか、それともチームから外す決断をすべきか迷っています。判断の基準やタイミングの見極め方があれば教えてください。

  • ︎ イノベーションは解釈のズレから生まれる「気付き」の積み重ねである
  • ︎ ズレが議論に昇華されるなら希望があるが、衝突にしかならないなら分岐点だ
  • ︎ 議論を切る決断をするのは誰か──チームの“独裁構造”を明確にしておけ

解釈のズレは、進化の予兆かもしれない

**「ビジョンが合わない」という状態は、一見すると危機に思えるかもしれない。**けれど、それは“進化の兆し”と捉えられる。なぜなら、イノベーションとは世界に向けて問いを投げかける行為であり、世界との接触によってその意味が絶えず変容していくプロセスだからだ。

**ビジョンとは、「静的な正解」ではなく、「動的な問い」の集合体だ。**ある言葉の下に集ったとしても、そこに込める意味や背景は、人によって必ず違う。つまり、ズレは避けられない。むしろ、ズレたときにこそ、チームは真の意味でそのビジョンに“向き合う”ことになるのだ。

チームの問題は、そのズレをどう扱うかに関わっている。 ぶつかり合いを「分裂の前兆」と見るか、「気付きの起点」と見るか。ここに、リーダーの構えが問われる。

言葉の一致ではなく、問いの共鳴を探せ

**例えば「すべての人に健康を」というビジョンを掲げたチームがあったとする。**一人はテクノロジーによる予防医療の普及を想像し、もう一人は地域医療の再構築を思い描いているかもしれない。このとき、表面的には“方向性がズレている”ように見えても、その奥にある問いが同じであれば──たとえば「人は何をもって健康と感じるか」──その違いはむしろ強みになる。

**ビジョンにおいて大切なのは、“言葉”の一致ではなく“問い”の共鳴だ。**異なる手段を持っていても、共通の問いに惹かれているなら、チームの前進力はあがる。逆に、問いそのものが交差しない場合──つまり、「何に怒っているのか」「何を変えたいのか」という根本が食い違っている場合──そのズレによる摩擦は激しくなっていく。

この違いを見極める鍵は、議論になるかどうか。 問いの共鳴があるなら、ズレは対話を呼び、クリエイティビティを促す。しかし、共鳴がないなら、それは対話ではなく衝突になる。そこで初めて“分岐の兆候”が現れる。

最終決断を担うのは、誰なのか

**ここで必要になるのが「誰が決断するのか」という明確なルールだ。**すべてを合意形成で進めようとすれば、話し合いは無限に続き、何も決まらない。イノベーションには、どこかに“意思決定の独裁性”が必要となる。

**スタートアップにおいて、創業者が過半の株式を持つべきだと言われる理由はここにある。**共に夢を語る段階ではフラットでいい。しかし、現実のプロダクトやマーケティングの判断で意見が割れたとき、最後に誰が決めるのかが曖昧だと、進まない。

同じことは企業内のチームにも言える。 「話し合いの終わらせ方」を、あらかじめ決めておく必要がある。最終判断者を明確にすることは、対話の自由を保障する行為でもある。安心して意見をぶつけ合えるのは、最後に誰かが決めてくれるとわかっているからだ。

分岐のタイミングは“問いへの敬意”が失われたとき

**それでも、どうしても合わないことはある。**そのとき、「いつ分かれるべきか」の判断基準は明確です──それは、“問いへの敬意”がなくなったときだ。

**意見の違いはあっていい。**しかし、お互いの問いに対してリスペクトがなくなった瞬間、議論は成立しない。自分の主張を通すことだけが目的になり、相手の視点を理解しようとしなくなる。それはもう、対話ではなく、戦争だ。

この状態になったら“降ろす”判断を検討すべきだ。 それは敗北ではない。むしろ、「異なる未来を選ぶ自由」をお互いに認め合うことでもある。違う道を選んだ仲間を否定するのではなく、「自分たちは、それぞれの問いに忠実であろうとした」という健やかな別れを選ぶことができる。

ビジョンの多様性とチームの一貫性をどう両立するか

**結局のところ、強いチームとは、“多様な問い”を抱えながらも、“一つの仮説”に向かって動ける組織だ。**つまり、「多様性を生かしながら、一貫性を保てるチーム」が理想なのだ。

このバランスは極めて難しい。 だからこそ、問いの可視化が必要になる。互いにどんな問いを持っているのか、定期的に言語化し、それを擦り合わせていく。それが、ズレをイノベーションの燃料に変える鍵となる。

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