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頑ななリーダーをどう軌道修正する?

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頑ななリーダーをどう軌道修正する?

Q. 事業性の薄いアイデアの具体化が進んでいます。リーダーは聞く耳を持たず、メンバーは疑問を抱えたまま進めています。この状況、どう軌道修正すればいいのでしょうか?

  • ︎ 正面突破より、“揺らぎ”を生む静かな働きかけが鍵
  • ︎ 小さな検証と原点対話で、リーダー自身に気づかせる
  • ︎ 本気で変えたいなら、自分が火を灯し続ける覚悟が必要

正論で殴っても、リーダーは絶対に動かない

**まず押さえるべき大前提は、正論でリーダーを動かそうとしても失敗するということだ。**新規事業においては起案者が自分が描いた未来に強烈なオーナーシップを持って進めている。そこにいきなり正面から「事業性がない」と突きつければ、たとえ正しくても、人間は感情的に守りに入る。防衛本能が発動し、耳を塞ぐ。

**だから必要なのは、“正す”のではなく“揺らす”ことだ。**相手のプライドを傷つけず、静かに、しかし確実に心の地盤を揺らす。そのために、意見ではなくファクトを積み上げ、揺らぎを生み出す作戦を取らなければならない。

軌道修正とは、論破ではなく、自己気づきを引き起こすプロセスだ。 押し倒すのではなく、リーダー自身が「おや?」と思う瞬間を設計することが第一歩になる。

小さな仮説検証で“揺らぎ”を仕掛ける

**最も効果的な手段は、小さな仮説検証だ。**たとえば、顧客インタビュー、簡易PoC、ペーパープロトタイプ──何でもいい。とにかく、短期で現場のリアルな反応を可視化できるアクションを仕掛ける。

そして得られた結果を「否定」ではなく「問い」としてリーダーに投げ返す。「想定していたより反応が鈍いようです」「もう少し深堀りしてみてもいいでしょうか」──こうした提案型のスタンスで、リーダーに「違和感」を自ら感じてもらう。

この時、データや事例を小出しにしながら、“自分ごと”としてリーダーに思考させる空気を作るのがコツだ。 直接「違う」と言わなくても、事実が語りかけるように仕組むのだ。

それによって、リーダーのプライドを傷つけず、少しずつ「方向転換」という選択肢を認識させる。 軌道修正とは、「押す」のではなく、「揺らす」ことでしか起こしようがないのだ。

本質に立ち返る対話の場を設計する

**ただのファクトだけでは足りない。**さらに必要なのが、原点に立ち返る対話だ。現状のアイデアを批判するのではない。「そもそもこの事業で、どんな顧客の変化を起こしたかったのか?」という問いを再提示する。

**たとえば、ワークショップ形式で未来の顧客像を描く、成功時のストーリーを再構築するなどの場を設ける。**リーダーに「最初の想い」を語らせ、「この事業が実現したとき、顧客にどんな変化をもたらしたいか」を改めて言語化する場をつくる。

現時点のアイデアの“事業性”を直接否定するのではなく、「そもそもの想い」を掘り起こす。 その上で「今の道筋がその未来に繋がっているか?」を皆で考える。すると、多くの場合、「最初に思い描いていた未来」と「今進んでいる道」とのズレが可視化される。

この手法の強みは、対話によってリーダー自身にズレを自覚させることにある。 外から押し付けられた修正ではなく、「自分の意思で軌道修正した」と思える状況を設計できれば、抵抗は格段に減る。

冷静なファクトと熱いストーリーの両輪で攻める

軌道修正には「冷静なファクト」と「熱いストーリー」の両輪が必要だ。

**ファクトだけを並べれば冷たすぎる。**ストーリーだけを語れば軽すぎる。だから両方を組み合わせる。「ユーザーの生の声」「実際のプロト検証データ」など冷静な裏付けを提示しながら、「この未来の方が、もっと多くの顧客に希望を届けられる」という熱いビジョンを同時に語る。

リーダーに「現実」と「理想」の間のギャップを突きつけ、その橋をかける提案をする。 どちらか一方だけでは心は動かない。冷静な現実と熱い未来、その両方を携えて向き合うことが、突破口になる。

最後は「自分が火を灯す」しかない

**どんなに正しくても、どんなに丁寧でも、変わらないリーダーはいる。**それでも、諦めてはいけない。

新規事業において最も大きな変化の起点は、いつだって「個人の火」だ。 「誰か一人の本気」だ。だから、そのリーダーを変えたいと思っている自分がまず火を灯す。

たとえ小さな一歩でも、たとえ誰にも認められなくても、自ら動くしかない。 PoCをやる。顧客に会う。市場調査をする。──小さな行動を積み重ねることで、周囲のメンバー、やがてリーダー自身の心にも、必ず波紋が広がる。

動き続ける者だけが、空気を変える。 小さな変化が、いつかチームの重い空気を裂き、リーダーさえも動かすきっかけになる。その覚悟を、あなた自身が持つしかない。

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