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フラットな探索組織の最適人数とは?

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フラットな探索組織の最適人数とは?

Q. 深化と探索ではあるべき組織の形が違うというが、フラットな組織とした場合でもやはりリーダーは必要ではないかと思います。リーダーがいながらに、フラットで組織を動かす場合は何人くらいまでが適当ですか?メンバーが多くなれば調査探索の役割分担ができますが、その分情報共有に時間がかかり、またフラットでは運営しにくいのではと思いますがいかがでしょうか?

  • ︎ フラット組織における探索チームの最適人数は「7±2人」が基本ライン
  • ︎ 情報共有のボトルネックを避けるには「スプリント単位での共通目的」と「明示的リーダー」が鍵
  • ︎ 拡張時は“フラット内リーダー”を増やすことで、組織の俊敏性を保ちながらスケール可能

「7±2人」が最適解となる心理学的・構造的根拠

心理学者ミラーが提唱した「短期記憶の容量が7±2チャンクである」という原則がある。 これは、チームでの情報処理・意思疎通においても応用されてきた。つまり、一人の人間が効果的に関与し意思疎通できる対象数が7±2人ということだ。

**探索的な活動は、課題の定義や仮説の構築、一次情報の獲得といった多様なタスクを伴う。**そのためには一定の人数が必要だ。

しかし多すぎると逆に「会議で決まらない」「情報が行き渡らない」「誰が何をしているかわからない」といった弊害が起きる。

ボクが実際に10人規模の探索チームを見てきた経験でも、8人を超えたあたりから明らかに意思決定のスピードが落ちた。 全員が発言しようとすると1時間のミーティングでは足りなくなり、逆に発言しない人が出てくる。

心理的安全性・意思決定速度・責任の明確化の観点からも、探索チームの人数に関しては、6〜8名の小隊サイズを基本単位とすることが妥当である。

フラット組織でも「明示的リーダー」は必要不可欠

フラット=リーダー不在、ではない。

むしろ、探索活動のように「構造が不確定」「仮説検証が高速で必要」な状況では、リーダーの役割はより重要になる。

ただしここでのリーダーとは「命令する管理者」ではなく、「意思決定の最後の責任を持つプロジェクト・オーナー」だ。

探索チームにおけるリーダーは、全体のスプリントゴールを設定し、情報の解釈と方向性を定める羅針盤のような存在である。

これが不在だと、フラットであればあるほど「議論がループする」「優先順位がブレる」「誰も意思決定しない」という状態に陥る。

リーダーがいることで、チームメンバーは安心して自律的に動ける。

重要なのは、リーダーが「自律性を奪わない統率」を体現することだ。 そのためにも、OKR(目標と主要な結果)やスプリントレビューなど、目線合わせの仕組みが必要になる。

人数が増えれば調査・分析のリソースが厚くなり、探索の打ち手も多様化する。

「情報の同期コスト」から最適解を導く

しかし同時に、「情報の同期コスト」が爆増する。

**これを放置すると、進捗報告だけで1日が終わってしまう。**実際、私が関わったあるチームでは、週の半分以上が「共有会議」で埋まり、肝心の探索活動が進まなくなった。

この課題に対する設計的な解は2つある。

第一に「スプリント単位の目的の明確化」。

2週間ごとの目標設定により、情報共有の前提を揃えることができる。 「今週は何を明らかにするのか」が明確なら、共有すべき情報も自ずと絞られる。

第二に「共通テンプレートによるドキュメント文化の徹底」。

探索活動は言語化の質と速度が命だ。 記録のテンプレートを揃えることで、読み手の理解コストを下げられる。

さらに、探索チームには”リード・ジャーナリスト”役が必要不可欠である。

これは全体の情報整理・記録・編集を担当する人間だ。 メンバーに対して、情報共有をルール化し、指示する。その上で、編集責任を持つ。

なぜここまで記録にこだわるのか。

それは、探索活動で得られた「定性的な判断」「仮説検証の経緯」「失敗から得た学び」といった情報は、将来の意思決定において極めて重要な資産となるからだ。

AI時代においては、こうしたデータを「Center Brain(組織の中央知能)」として蓄積していかねばならない。 そのためにこそ、議論の経過や仮説検証のデータも含めて、AIが読み取れる形式で記録することが必要不可欠なのである。

拡張は「チーム単位」で、“フラット内リーダー”を増やす

もし探索テーマが複雑で、「7人ではどうしても足りない」状況が出てくる場合には、”チームを増やす”という選択をする。

つまり、大きな探索テーマを複数の小隊に分け、それぞれにリーダーを置く。

「フラットだが、チーム単位では指揮系統がある」という構造をつくるのだ。

このときに重要なのは、もちろん「探索ユニット間の連携設計」である。

週1回のリーダー横断ミーティングや、Slackなどでの”チーム間での学びのシェア”が欠かせない。 また、3チーム程度を統括する”統括マネージャー”を設置するのもよいだろう。

分化しても統率が効くためには、「言語・目的・リズム」が共通していることが重要だ。

つまり、”分かれていても同じ方向を向いている”状態をいかに維持するか。 フラットであることと、統率がとれていることは両立可能である。

フラットでありながら「熱量ドリブン」な探索を実現するには

最後に重要なのは、探索フェーズにおける「熱量」の設計だ。

探索は成果が見えにくく、迷いや不安の連続である。

そのなかでチームを推進力ある状態に保つためには、「情熱が伝播する構造」が必要になる。

リーダーは「最も情熱を持つ語り手」であるべきだ。

インサイトが出たときの驚き、仮説が外れたときの悔しさ、そしてプロトタイプの仮説検証で得られた手応え。 こうした感情を共有し、チーム全体に火を灯すのがリーダーの仕事でもある。

また、探索活動では「全員が語り手」であることも重要だ。

メンバーそれぞれがリサーチを通じて得たインサイトや仮説を、自分の言葉で語る場を持つ。

フラットであるとは、「全員が意味づけに関与する構造」でもあるのだ。

ボクが見てきた最も成功した探索チームは、毎週金曜の夕方に「ライトニング・トーク」を開いていた。 そこでは役職も関係なく、誰もが自分の発見を熱く語る。

その熱量が、次の週の探索を駆動する燃料になっていた。

探索組織において、最も大切なのは「構造」ではなく「熱」である。 その熱を組織設計によっていかに維持・増幅するか。それこそが、リーダーの腕の見せ所なのだ。

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