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面識のない顧客へのサウンディング、どうアポを取るべきか?

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面識のない顧客へのサウンディング、どうアポを取るべきか?

Q. サウンディングを実施したいが、リストには面識のない顧客も含まれています。仲が良い相手ならともかく、どういう理由や口実でアポを取り、何を話せばいいのでしょうか?単なる「世間話」をしに行くようで気が引けます。

  • ︎ 「世間話」ではなく、「未来をつくる相談」というスタンスで臨む
  • ︎ 「情報提供」ではなく、「知見を借りたい」という敬意を示す
  • ︎ 「あなたである理由」を言語化し、当事者意識を刺激する

「世間話」ではなく「未来会議」に誘う

**多くの人が陥る誤解は、サウンディングのアポを「営業のきっかけ作り」や「単なるご機嫌伺い」と混同してしまうことだ。**だから「世間話しに行く」という発想になり、申し訳なさを感じてしまう。まずはそのマインドセットを捨てよう。あなたが誘うべきは、世間話の茶飲み友達ではなく、「業界の未来を考える会議」のパートナーなのだ。

アポの理由は、正直かつ高潔であるべきだ。「売り込み」の匂いは出さない。「相談」として持ち込む。「現在こんなテーマで新規事業を検討しており、どうしても現場のリアルな声が必要です」と。そして、「貴社の取り組みには先進性があり、ぜひ勉強させていただきたい」と付け加える。

ポイントは、“商品売り込み“(Take)ではなく“知見を借りたい“(Borrow & Learn)というスタンスを明確にすること。 人は「教えてください」と頼られると、無下にはできない生き物だ。特に、その相手が熱量を持って未来を変えようとしているなら尚更だ。あなたの活動が、彼らにとっても意味のある「未来への投資」であると感じてもらえれば、扉は開く。

たとえば、「もしご関心あれば、15分だけお話を伺えませんか?」 という誠実な打診が有効だ。時間は短く切る。ハードルを極限まで下げつつ、熱量は高く保つ。このギャップが、「とりあえず話くらいは聞いてやるか」という心理的安全性と興味を生むのだ。

初対面の相手には「あなたである理由」を贈る

特に面識のない相手(コールドコールに近い状態)にアプローチする場合、定型文のようなメールや電話では決して心は動かない。「誰にでも送っているな」と悟られた瞬間、そのメッセージはゴミ箱行きだ。必要なのは、「なぜ、他の誰でもなく、あなたなのか」というラブレターのような個別具体性だ。

**相手の過去の実績、発信している記事、会社の理念。**これらを徹底的にリサーチし、「あなたのこの視点が、私たちの仮説検証に不可欠なのです」と伝える。これはお世辞ではない。本気で事業を創ろうとしているなら、必然的に「話を聞くべきキーマン」は絞られるはずだからだ。

「情報提供のお願い」だけでは不十分だ。 「ご本人にとっての意味」を丁寧に言語化することが鍵となる。「あなたの知見が、この業界の新しいスタンダードを作るヒントになります」あるいは「現場の最前線を知るあなただからこそ、この仮説の甘さを指摘してほしいのです」と。

「あなたの声が、この領域の未来に影響する」ことを伝えることで、相手の中に「参加する意義」が生まれる。 それはもはやアポイントメントではなく、プロジェクトへの「インビテーション(招待状)」になる。人は誰しも、自分の仕事が社会に認められ、何かの役に立つことを渇望している。その欲求に、真摯に火を灯そう。

未来を一緒に描く「仲間づくり」から始める

アポが取れたとしても、そこはゴールではない。「聞きたいことを聞いて終わり」にするのは、焼畑農業と同じだ。サウンディングの本質は、一度きりの情報収集ではなく、継続的な関係構築にある。つまり「仲間づくり」だ。

初めての面談で目指すべきは、「また話したい」と思わせることだ。 そのためには、こちらが一方的に質問するだけでなく、相手にも「気づき」を持ち帰ってもらう必要がある。「御社のこの課題、他の業界ではこう解決している事例がありますよ」といった情報提供や、「実はこんな未来予測があって……」というディスカッション。

対話を通じて、互いの視座が上がり、共鳴する瞬間を作る。 そうすれば、相手は「顧客」である以前に、同じ問題意識を持つ「同志」になる。新規事業は孤独な戦いだ。だからこそ、初期段階でどれだけ社外の同志を見つけられるかが、その後の推進力を決める。

未来を一緒に描く仲間づくり。 その第一歩が、この一本のアポなのだ。「世間話」なんてしている暇はない。互いの情熱をぶつけ合い、新しい景色を見るためのチケットを、勇気を持って手渡そう。断られることを恐れる必要はない。未来を語ることに、遠慮はいらないのだから。

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