Q. 新規事業のアイデア源として「エクストリームユーザー」の重要性は理解しました。とはいえ、現場では普通のユーザーすら見つけるのが大変な中で、どうやって未来の予兆となるような異端的なユーザーを発見できるのか、着眼点が知りたいです。
- ︎ エクストリームユーザーは「社会の最前線」に生きる者たち
- ︎ 既存カテゴリを壊す価値観の“異端性”がヒントになる
- ︎ 「異常」を無視せず、「兆し」として捉える構えが必要
「N=1の変人」は、未来のプロトタイプである
未来を感じる人は、いつも“少数派”から現れる。
エクストリームユーザーは、その少数派であり、「社会の最前線を生きる人」だ。
そういう人たちは、社会の中では“変わり者”と見られているが、単なる“変わり者”ではない。
社会の矛盾や課題に最も強く直面しており、その「苦しみ」や「工夫」に勤しんでいる。
エクストリームユーザーは、その中から未来への可能性を切り拓こうとしている「未来の兆し」だ。
彼らはまだ顧客になっていないかもしれない。 まだ「市場」が存在していない場合もある。しかし、だからこそ価値がある。
あなたが探すべきは「N=1の変人」だ。 彼らの生活を深掘りすることで、常識の外にあるインサイトに辿り着く。
未来は、すでに一部の人の中に宿っている。 それを見抜けるかどうかが、事業の運命を分ける。
「異常値」を切り捨てるな、観察せよ
データ分析の世界では、外れ値(outlier)は「除外」対象とされがちだ。
だが、新規事業においては、むしろその「異常値」こそがヒントとなる。
たとえば、過剰に不満を抱えている人、過剰に工夫している人、過剰に何かを愛している人。
こうした“過剰な人々”の中にこそ、未解決の課題が眠っている。
つまり、観察のスタンスを変えねばならない。
異常を「排除」せず、「兆し」として捉える。 これがエクストリームユーザー発見の第一歩である。
どこを見るか? ではなく、どう見るか? である
着眼点は「どこにいるか」ではなく「どう見るか」の方が重要である。
**エクストリームユーザーは、必ずしもSNSのインフルエンサーではない。**むしろ日常の中にひっそりと存在している。
大切なのは、「普通」の中にある「異質さ」を嗅ぎ取る感性である。
たとえば、家庭内介護をする10代の若者。
地方で完全自給自足生活をする一家。
都市部で無電力生活を送るクリエイター。
これらはすべて、社会課題に先行して向き合うエクストリームユーザーである。
彼らを見つけるには、「普通じゃない人を面白がる心」が必要だ。
「極端な行動」より「極端な動機」に注目せよ
一見すると奇抜な行動も、それだけでは兆しとは言い難い。
本当に見るべきは「行動の背後にある動機」だ。
なぜそんな生活を選んだのか? その背景にある価値観は?
そこに未来の社会課題や価値変容の芽がある。
たとえば、ミニマリストが注目された背景には、「過剰消費社会への違和感」という価値観の変化がある。
これは、サステナブルなサービスやサブスクリプション型ビジネスの兆しでもあった。
極端な行動に驚くだけではなく、その背後に宿る「執念」を観察する。
データではなく、ストーリーを追え
エクストリームユーザー探索には、統計データではなく「語り」が必要だ。
N=1のストーリーを聞く。
何に怒っているのか。
何に希望を感じているのか。
どんな工夫をしているのか。
こうした具体的な語りの中に、イノベーションの種は宿る。
そのために有効なのが、サウンディングである。
探索的に話を聞く。 観察し、共感し、言語化する。
そのプロセス自体が、アイデア発想のプロトタイピングになる。
一人の深い物語が、万人に響くプロダクトを生む。 あなたが聞くべきは「声なき声」なのだ。
「異端への共感」が、チームの資質を決める
最後に補足したいのは、チーム全体の「眼差し」だ。
エクストリームユーザーを探すには、単なるスキルよりも「異端への共感力」が求められる。
異質な価値観や行動様式に対して、恐れず、面白がり、深く共感できるチームかどうか。
それは企業文化にも関わる。
優等生的な社員ばかりの組織では、エクストリームユーザーの声は“ノイズ”として処理されがちだ。
だからこそ、異端に心を開けるチーム編成とカルチャー醸成が不可欠である。
未来は、異端の中にある。 ならば我々も、異端であれ。
THE SEEDS 81
イノベーションの種を撒き散らかす手紙。
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