Q. 既存事業の業界とはまったく関係のない新しい領域へ進出することになりました。0から1をどう生み出せばいいのか分かりません。具体的なステップや実例があれば知りたいです。
- ︎ 最初にやるべきは、「知る」ではなく「飛び込む」
- ︎ 違和感・構造・インサイトの3点から仮説を立てる
- ︎ 最初のアクションは、課題発見より「問いを立てる」こと
知る前に、現場に飛び込め
**異業界に挑む際、「まずは業界研究から始めよう」と情報収集ばかりに時間を割いてしまう人は多い。**しかしネット記事や二次情報では、本質的な構造や違和感には辿り着けない。必要なのは、頭ではなく身体を使ったリサーチだ。
**展示会に出向く。**業界関係者と直接会って話す。競合サービスを実際に利用してみる。顧客として問い合わせをしてみる。つまり、現場の空気に直接触れ、体感すること。それによって初めて、その業界の“当たり前”に対して違和感を持てるようになる。
この違和感が、ゼロイチの起点となる。 自分が属していた業界では見えなかった「問い」を生むためには、他者の世界に飛び込む以外に方法はない。
その業界の「構造」を言語化せよ
**どんな業界にも、「勝ちパターン」と「暗黙の前提」がある。**価格の付き方、決裁の流れ、カスタマージャーニー、商習慣、そして誰が我慢して動いているのか──そういった構造を“図解”できるまで分解しなければならない。
**特定のプレイヤーがなぜ儲けているのか。**その構造的優位性は何か。ユーザーがどこで不満を感じていて、どこで“諦めている”のか。それらを構造として言語化できるようになると、初めて「どこに打ち手があるか」が見えてくる。
構造の解像度が低いままアイデアを考えても、それはただの机上の空論にしかならない。
先に“ビジネスモデル”は考えなくていい
**異業界参入時にありがちな誤りが、「どんなモデルで儲けるか?」**を最初に決めてしまうことだ。だが、最初にモデルを設計すると、仮説探索の範囲が限定され、事業としての可能性を狭めてしまう。
初期フェーズでは、「どんな価値のやりとりが発生しているか?」「誰が何にお金を払っているのか?」を観察し、その中に“非効率”や“歪み”を見出すことが優先だ。モデルはその後、ユーザーの実際の行動や反応に基づいて構築するものであり、事前に決め打ちするものではない。
違和感→構造→問い、の順で仮説を立てる
**ゼロイチの起点は「課題」ではない。**スタート地点はいつも“違和感”だ。「なぜこの業界ではこうなっているんだ?」「この非効率は本当に必要か?」という疑問から始まり、それを構造として整理する。そのうえで、「もしこの前提を壊したら、何が変わるか?」という問いを立てる。
**この順序──違和感→構造→問い──を踏むことで、表層的な改善案ではなく、“構造を揺るがすアイデア”が生まれてくる。**問いを立てるとは、「見えていない前提にメスを入れる」ことであり、それがゼロイチの本質である。
ある住設メーカーは、まったく畑違いの介護業界に参入するにあたり、介護施設に通い詰め、入浴支援の現場にボランティアとして関わった。 すると、設備よりも“人の負担”がボトルネックになっていることに気づいた。
そこから彼らは、「空間設計そのものを変えなければ意味がない」という問いを立て、自社の設計ノウハウを活かして“介護動線設計BPO”という新サービスを立ち上げた。 これは今や、行政との共創プロジェクトにも発展している。
このように、違和感を起点に構造を捉え、問いを立てる──というプロセスこそが、異業界でゼロから新しい価値を生む唯一の道筋となる。
異業界参入ステップ
①現場に飛び込む 体験を通して違和感を発見する
②業界構造を言語化する 誰が何に悩み、どう回っているのかを可視化
③問いを立てる 前提や仕組みに対する根本的な疑問を言語化
④仮説をつくる 構造的なズレを是正する解決策を設計
⑤行動して検証する プロトタイプやインタビューで実際の反応を確かめる
⑥スケーラビリティを見極める 構造の中で横展開できる領域を探る
THE SEEDS 81
イノベーションの種を撒き散らかす手紙。
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