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リアリティある事業計画って、どう作る?

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リアリティある事業計画って、どう作る?

Q. 投資判断において、実現性の高さよりも“リアリティがあるかどうか”が問われる場面が多くあります。では、リアリティのある事業計画とは、具体的にどんなポイントを押さえているのでしょうか?

  • ︎ リアリティとは「筋が通っている」ことであり、「現実的に見える」ことではない
  • ︎ 数値は“仮説”を支える手段であり、“説得”ではなく“納得”の道具である
  • ︎ 最も信頼される事業計画は、行動と構造がセットで語られている

リアリティとは、「現実的」ではなく「筋が通っている」こと

**多くの人が勘違いしているのは、「リアリティがある事業計画=堅実で地に足がついた計画」だという思い込みだ。**だが、現実的な数字を並べるだけでは、見る側に“事業の確かさ”は伝わらない。

**本当に信頼されるのは、「この仮説に基づき、これだけ行動して、ここまで構造的に見立てている」と伝わってくる“筋の通った構想”だ。**リアリティとは“過去の結果の説明”ではなく、“未来への確信の確かさ”のことである。

その筋を構成するのが、「誰に」「どんな変化を」「どんな仕組みで」起こすのかというストーリー。 そしてそのストーリーを補強するのが、検証された一次情報と、構造を理解した上での数字なのだ。

数値とは、「仮説に意味を持たせるための解像度」である

**事業計画の数字は、説得のために盛るものではない。**信頼を得るためには、“この数値がどこから出てきたか”が語れることのほうが重要だ。

たとえば、「初年度1万人の利用者を目指します」という数字も、その背景に「この課題を抱える顧客が〇〇市場に××人いて、Y%が代替手段に満足していない」という解像度の高さがあるかどうかで、まったく印象が変わる。

“この数字をどう積み上げたか”ではなく、“なぜその仮説にたどり着いたのか”を語れるかどうか。 これが、数字にリアリティを宿らせる最大のポイントになる。

「行動ベース」で逆算された数字か?

信頼される事業計画に共通しているのは、数字が「意志」と「行動」から逆算されているということだ。

たとえば「顧客インタビューを20件実施した結果、◯◯なユーザーに◯◯な価値を提供できると判断した」→「初期ターゲットとしてその母集団の1%が顧客になると想定」→「プロダクトAの単価は△△円」→「初年度売上は□□万円」──というように、実際の行動の上に立った積み上げであれば、数字が多少粗くてもリアリティは十分に伝わる。

一方、仮説や行動のないまま「この規模の市場だから1%獲得したら…」という計算だけをしてもただの数値遊びにしか見えない。 リアリティとは「確からしいかどうか」ではなく、「自分たちが何に賭けているか」が伝わることにある。

事業の“仕組み”を分解し、数値の因数を明示する

**もう一つ大事なのは、事業の伸び代を「構造」で語れているかだ。**単なる売上の積み上げではなく、「どの指標がドライバーになるのか」「どの要素がレバレッジを生むのか」を分解して示す。

たとえば、単価×購入頻度×ユーザー数、もしくはCACとLTVのバランスなど──事業の“成り立ち”が理解されている数字かどうかが、評価者の安心感に直結する。

「どの数字が変動したら、事業の将来性はどう変わるのか?」 という構造を説明できるだけで、「この人たちは、自分たちのビジネスを“仕組み”として理解している」と伝わる。逆に、「この1年は頑張ります」しか書かれていないものは、未来の景色がまったく見えてこない。

KPIで撤退基準を示す

**リアリティある事業計画には、「失敗したときの条件」も描かれている。**なぜなら新規事業において、撤退やピボットは“前提”であり“失敗”ではないからだ。むしろ、撤退判断ができる構造を事前に作っている方が、評価される。

「初月に広告費○万円でCTRが◯%以下なら、ペルソナが間違っている」「3ヶ月以内にLTV>CACの仮説が立たなければ、事業モデルをピボットする」──こうした撤退・軌道修正の条件が示されていれば、「この人たちは仮説検証を本気でやるつもりなんだ」と伝わる。

数字とは、「成功の積み上げ」だけでなく、「失敗の見切り」の物差しでもある。 そこまで含めてこそ、事業計画にはリアリティが宿る。

数字と物語の両輪で、“納得”を生む

**最後に強調したいのは、数字とストーリーは対立するものではなく、補完し合う存在だということ。**数字が細かくても、なぜそれに辿り着いたのかの「ストーリー」がなければ伝わらない。ストーリーがどれだけ熱くても、それを裏打ちする「構造」と「仮説検証」がなければ浮ついて見える。

リアリティとは、実現性の高さではない。 「その未来を、自分も信じられるか?」という“納得のしやすさ”のことである。だからこそ、数字と物語の両輪で“現実感”を描いていく必要がある。

投資判断に必要なのは「成功確率の高さ」ではなく、「仮説→行動→構造」が見えていること。 つまり、「この数字に賭けているんですね」と理解してもらえる計画こそが、信頼される事業計画になる。

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