Q. アイデアはカタチだけではなく実行が全てだという言説を聞きます。しかし初心者にとっては、アイデアを出す意欲をくじかないことも大切なように思えます。どのように考えれば良いでしょうか?
- ︎ アイデア単体には価値はないが、“発想の火種”としては重要
- ︎ 初心者には「アイデアを出す行為」自体を肯定することが先
- ︎ 否定ではなく、「育て方」を教えることが次への成長につながる
アイデア単体の価値は低い。しかし火種としては重要
**経験を積んだ人なら、「アイデア単体には大した価値がない」という現実を理解しているだろう。**実際、世の中に存在するほぼすべてのアイデアは、すでに誰かが思いついているものだ。
**「アイデアを出したか」ではなく、「どう育て、どう現実に落とし込んだか」である。**アイデア単体には価値があるのではなく、そこから未来を創ろうとする行為に価値があるのだ。
ただし、それはアイデア自体が無意味だということではない。 アイデアは、発想の火種であり、挑戦のきっかけだ。
初心者にとっては、まず「アイデアを生み出す」「アイデアにワクワクする」という感覚こそが、次の行動への原動力になる。 だから、最初からアイデアを軽視してしまうと、せっかく芽生えた探究心や創造意欲の火を消してしまいかねない。
初心者に必要なのは「否定」ではなく「拡張」である
**初心者が出すアイデアに対して、「それは無価値だ」と冷たく斬り捨てるのは最悪の対応だ。**発想の芽は、最初はどんなに小さくても、育て方次第で大きな可能性を持つ。可能性でいえば、どんなアイデアも可能性はゼロではないのだ。
**重要なのは、アイデアの是非をジャッジすることではない。**そのアイデアを起点に、「さらにどう広げられるか」「どんな背景がありうるか」を一緒に考えていく姿勢だ。
「いいね、それをもっと深掘りするとしたら?」 「もしその世界が本当にあったら、何が変わると思う?」──そうした問いかけによって、アイデアは初めて意味のある構想へと成長していく。
アイデアを肯定することは、思考停止を促すことではない。 むしろ「拡張する力」を育てる起点だ。だから、初心者に対しては「面白い、その先を一緒に考えよう」というスタンスが重要になる。
「アイデアの種まき」と「アイデアの育成」は別のフェーズ
**アイデア出しとアイデアの実行可能性の検証は、本来まったく違うフェーズに位置する。**最初から「実現性はあるのか?」というフィルターをかけると、ほとんどの発想は芽吹く前に摘み取られてしまう。
**だからこそ、最初は量を出す。**質は後から磨けばいい。初心者には「出してもいいんだ」「たくさん出す中に必ず光るものがある」という感覚を持たせることが先決だ。そのうえで、十分に種をまいた後、次のフェーズで「選別と育成」を始める。つまり、「発想を肯定するフェーズ」と「現実に向けて磨き込むフェーズ」を、意図的に分けることが重要になる。
「今は種まきだから、まずは自由にやろう」「この後、育てるときに厳しく見るからね」と最初に合意しておくと、双方にストレスが少ない。
「アイデアを否定しない」と「甘やかす」は違う
**注意すべきは、「アイデアを否定しない」ことと、「何でもOKにする」ことは全く違うということだ。**全肯定してしまえば、成長機会を奪う。甘やかすのではなく、あくまで「問いを返す」ことで思考を促す。
たとえば、アイデアに対して「そのアイデアはどんな顧客行動に基づいてる?」「その未来が本当に来るとしたら、何がボトルネックになると思う?」と問い返すことで、発想を深めさせる。初心者には、否定ではなく問いによるフィードバックが最適だ。
このプロセスによって、彼らは自然と「アイデアの育て方」を学び、次第に“発想から仮説設計”へと成長していく。
最終的には「育てきる力」が問われる
**もちろん、最終的には「アイデアを育てきる力」が必要だ。**新規事業の世界では、99%のアイデアが実現しない。だが、実現できた1%でさえも、最初から完璧な発想だったわけではない。未熟なアイデアを、どれだけしつこく磨き、検証し、形にできるか。
だから初心者にも、最終的には「アイデアの責任者として、育てきる覚悟」を求めるべきだ。 ただしそれは、「最初から優れたアイデアを出せ」という意味ではない。「最初は粗くてもいい、でも育てる努力を惜しまないで」というメッセージであるべきだ。
アイデアの価値は、発想時点ではゼロかもしれない。 しかし、行動と情熱によって育て上げれば、それは世界を変える種になる。その成長プロセスを支援することこそが、初心者支援の本質だ。
THE SEEDS 81
イノベーションの種を撒き散らかす手紙。
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