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MVPは“最小限のプロダクト”ってことですよね?

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MVPは“最小限のプロダクト”ってことですよね?

Q. MVPって「最小限で動くプロダクトを作ること」だと理解していますが、最近「MVPは学びのためのもの」とか「作りすぎるな」って言われるのを聞きました。実際には、どの程度のものを作ればよいんでしょうか?何をもって“最小限”と判断すべきなのか、いまいち腑に落ちません。

  • ︎ MVPは「最小限の製品」ではなく「最短の学習装置」
  • ︎ 「プロダクト」ではなく「プロセス」を試す
  • ︎ 目的は“作る”ことではなく“学ぶ”ことにある

MVPは“何かを作ること”ではなく、“何かを学ぶこと”

**多くの人が「MVP=簡易版の製品」と誤解してしまうのは、その名に「Product(製品)」という言葉が含まれているからだろう。**しかし、本質は「Minimum Viable Product(実証可能な最小限の製品)」であり、キーワードは「Viable(実証可能)」にある。つまり、目的は“売ること”ではなく、“学ぶこと”だ。

**新規事業の初期フェーズにおいては、アイデアの正しさよりも「どの仮説が誤っているか」を早く知ること(Fail Fast, Learn a Lot)が重要である。**そのため、MVPとは「誤りをあぶり出すための最小単位の学習装置」であり、作ることが目的にしてはいけない。「仮説を検証する」ことこそが本質だ。

その視点で考えれば、UIだけのスケルトン画面や、紙に描いたペーパーモック、あるいはスライドで表現された企画書や1枚ペラのチラシでも、立派なMVPたり得る。 むしろ、作り込みすぎることで仮説検証が遅れる方が、成功のためにははるかにリスクとなる。

何を検証したいのか?をまず明確にする

MVP設計で最初に考えるべきは「何を作るか」ではない。「何を検証したいのか?」である。Solution/Product Fitを目指すプロセスでは、顧客が“本当に困っている”ことに対し、自社のプロダクト、サービスに“満足していただき、継続したいと思ってもらえる”のかを検証する。また、Product/Market Fitの初期では、それを”お金を払ってまで”という条件を加えて検証する。

**そのS/P F、P/M Fのフェーズには、マーケティング・ファネル(認知→興味→検討→購入)や業務プロセス、場合によってはサプライチェーンまで、どの段階をどう通るのかをあらかじめ簡易にでも構造化しておく必要がある。**そして、「どのステップの、どのKPIが仮説として重要か」を特定することで、MVPが設計できる。

例えば「資料請求からのコンバージョン率が低い」という仮説検証なら、UIや機能を持たない“モックLP”でも十分にMVPとなる。 「本当に買うかどうか」を見るなら、決済ページまで作り込む必要があるかもしれない。要は、目的に応じた最短の手段をとる、ということだ。

「人力MVP」という考え方も持つべき

もちろんプロダクトを開発することだけでなはない。「人力MVP」を模擬してみることも、初期フェーズでは極めて有効である。例えば物流が肝となるD2Cでは、「手作業で3人が商品を届ける」でも構わないし、BtoBのSaaSでも、顧客に対してのオンボーディングを手動で再現することが重要な学びにつながる。

**特に新規事業の初期の初期においては、スケーラブルかどうかをいきなり問うべきではない。**それよりも「この価値提供は、目の前の1人にとって本当に価値があるのか?」という一点にフォーカスすべきであり、それを確かめるための手段として、プロダクトも、プロセスも、営業も、全てがMVP化できる。

なぜ「作りすぎる」と失敗するのか?

**MVPにおいてもっとも避けたいのが「作りすぎ」である。**多くのプロダクト開発者は、ついプロダクトの完成度を上げようとしてしまうが、その間に顧客は待ってくれないし、最悪のケースでは“誰にも使われないもの”を完璧に仕上げてしまうという事態に陥る。

**「作りながら学ぶ」ことと「作り終えてから学ぶ」ことの間には、圧倒的な情報量の差がある。**初期のうちに少しでもアウトプットを顧客に見せ、反応を観察することで、何倍ものスピードでインサイトが得られる。

「1行のコードも書かずに検証できるなら、そうすべき」。 これは新規事業における鉄則だ。目的は“作ること”ではない。“学ぶこと”なのだから。

MVPは“問い”をデザインする技術である

**MVPとは「最小限のプロダクト」ではなく、「最小限の問いに答えるプロトタイプ」である。**何を仮説として置くのか?その仮説にどう答えるか?その答えを最短で得るには、どんな形式で提示すればよいか?この一連の設計が、MVPの本質的な技術である。

つまりMVPとは、プロダクトの一種ではなく、“問いのための道具”である。 正しくMVPを設計できる人材とは、正しく問いを立てられる人材でもある。プロダクトを作る前に、問いを研ぎ澄ませよ。そして、作らずに学ぶことにこそ、MVPの価値は宿る。

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