新規事業 サプリ

若手・中堅・管理職に求められるものは違うのか?

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若手・中堅・管理職に求められるものは違うのか?

Q. 新規事業を動かすとき、若手・中堅・管理職それぞれに求められる「役割」や「思考のあり方」は何が違うのでしょうか?

  • ︎ 若手は「常識を壊す行動者」、中堅は「翻訳する推進者」、管理職は「守り支える構造設計者」
  • ︎ 成長段階ではなく“思想の違い”として、階層ごとの役割を再定義せよ
  • ︎ 階層を超えた“越境と共鳴”こそが、イノベーション組織の生命線である

若手:常識を壊し、無謀を実行に変える「未来創造の原点」であれ

若手に求められるのは、「しがらみから自由な発想」と「良い意味での無謀さ」だ。

新規事業とは、既存の文脈を超えて未来を“創造”する仕事であり、若手はその最前線に立つ存在である。

既得権益、業界慣習、社内ルール──それらをまだ「常識」として刷り込まれていない若手だからこそ、未来を再定義する起点とある「違和感」が持てる。

既存事業は「未来は予測可能である」という想定のもと、計画と改善で成り立つ。 一方、新規事業は「未来は予測不可能であり、不確実である」という前提に立つ。

つまり、「予測する仕事」ではなく、「創り出す仕事」だ。 そこでの若手は、“行動してから考える”人間であるべきなのだ。

ボクが見てきた新規事業の成功例の多くは、ほぼほぼ最初の企画書とはまるで違う姿になるまでピボットを繰り返している。

顧客と対話し、何度も壊して作り直して、市場に出す。 市場に出してからもそのイテレーションを繰り返す。

その泥臭いプロセスの中でしか、本当に提供すべき価値は見えてこない。

動かなければ、何も見えない。 行動がインサイトを生み、インサイトが価値を明確化する。

そしてその中で情熱を育つ。 情熱は「最初からあるもの」でなくていい。原体験などいらない。本気でイノベーションに挑めば、情熱は自然と湧き上がり、育つ。

行動し続ける中で、心が熱を帯びる瞬間に出会う瞬間が必ず訪れる。

「課題が見えた」のではない。 「課題を語る言葉」を手に入れた。その時、世間知らずの若造は、イノベーターとして確立される。

また同時に、「根拠なき自信」さえあればいい。

新規事業には、100%の確信など存在しない。

だからこそ「未来の自分なら、きっとできる」と信じる“無根拠な確信”こそが、実行の原動力になる。

若手に必要なのは、完璧な計画ではなく、踏み出す勇気と好奇心の継続、そして無謀な自信だ。

組織に風穴を開けるのは、いつだって“素人のように考え、玄人のように動く者”だ。

中堅:熱と構造をつなぐ「翻訳者」であれ──イノベーションとコーポレートを架橋する存在

中堅に求められるのは、「現場と経営の通訳」としての力だ。

**若手の無謀な情熱と、経営層の理性的な構造。**その間に横たわる「温度差」を翻訳し、両者を橋渡しすること。これが中堅にしかできない仕事だ。

新規事業は、熱量 × 確信 × 現実解の掛け算で動く。

若手の「熱量」を、経営が求める「構造」(収益性・整合性)に接続し、実現可能な道筋=現実解に変換する。

若手が「この事業、絶対イケます!」と言ったとしても、それだけでは経営陣は動かない。

なぜなら彼らは「なぜイケるのか」「どう収益化するのか」「リスクはどこにあるのか」を知りたいからだ。

だから、中堅は、若手の熱を、数字と戦略に変換しなければならない。

「この市場には年間○○億円の潜在需要があり、競合は△△の理由で参入できていない。 我々の技術アセットを活用すれば、初期投資××万円で3年後に黒字化が見込める」と。

この“翻訳”には、2つの力が必要だ。

1つ目は、言語化。

経営層を動かすには、感情ではなく「経営者の文脈」に翻訳する必要がある。

「このテーマが技術アセットをどう蓄積するか」 「既存事業にどんなシナジーをもたらすか」
「中長期でどんなリターン構造を描くか」
「なぜ我が社がやるべきなのか」

中堅はこの“翻訳装置”を担う。

2つ目は、ストーリーテリング。

普段、人は理性で物事を判断している。 しかし一方で感情が暴れ出したら、理性では抑え込めない。

だからこそ、論理だけではなく物語を語ることが重要だ。 それによって人々をワクワクさせ、感情を動かし、共感を生むことができれば、人々を巻き込むことができる。

「なぜこの事業が必要なのか」 「誰をどう救うのか」
「どんな未来を作るのか」

その“意味”を物語として紡ぐことが、周囲の共感を呼び、行動を巻き込む。

この2つの力そのものは、若手が発揮することができないわけではない。

一方で、これらを「我が社がなぜやるべきか」を含めると、若手では語りきれなくなる。 我が社のアセットも中長期戦略も、正しくは理解していないから。

そこに中堅が役割を持つべきなのだ。 中堅とは、異なる言語で語り合う世界をつなぐ外交官なのだ。

管理職:守り支え、文化を耕す「構造設計者」

**管理職の本質的な役割は、「評価者」ではない。**評価者ヅラをして、審査会ごっこをするのが一番無駄な時間だし、一番イノベーションの足枷になる。

果たすべきは、挑戦を守り、経営と現場をつなぐ“守護者”としての役割だ。

若手と中堅が共動的に挑戦できる環境を整え、経営層との対話を通じて組織全体を支える。 それが管理職の存在意義だ。

まず管理職に必要なのは、アンラーニング(学びの破壊)だ。 既存事業の成功体験は、しばしば新規事業の足枷になる。

「予測できる」「計画できる」「統制できる」という過去のマネジメント観を捨て、「不確実性を受け入れ、創造に賭ける」思想へとシフトする必要がある。

次に求められるのは、挑戦を評価し、失敗を許容する文化設計。

失敗を「減点」する文化では、誰も挑戦しない。 管理職は、「挑戦したか」「学習したか」「次に活かしたか」を加点方式で評価する制度を設計しなければならない。

組織に「クレイジーを許容する余白」が生まれたとき、イノベーションは芽吹く。

さらに、管理職はサッカー型マネジメントに徹すべきだ。 目的(ビジョン)を明確にし、あとは現場に裁量を委ねる。

新規事業において、現場の判断を逐一コントロールしようとする“野球型”マネジメントは機能しない。 任せ、信じ、支援する。その姿勢が、挑戦者を生かす。

最後に、経営層との対話力。

経営陣が抱える「確証バイアス」や「リスク過敏性」に対して、現場の意義と熱を構造的に伝える。

経営に翻弄されず、経営を動かす参謀であれ。 管理職は、経営の代弁者ではなく、現場の代弁者であるべきだ。

管理職とは、「ボス」ではなく「シェルパ」だ。 挑戦の道を、共に登る案内人でなければならない。

間違っても「評価」などという烏滸がましい行為に手を染めてはならない。 事業の評価は「顧客」がすべきなのだから。

越境と共鳴──異なる思考の交差点こそが、組織を進化させる

**新規事業組織の成功確率をあげる鍵は、“越境”と“共鳴”にある。**階層や職種を超えて混ざり合う瞬間に、最も多くの学びが生まれる。

若手は現場の実感を携えて戦略に触れる。 中堅は構造の裏側の芯に迫る。管理職は現場の混沌から、経営への提言に引き上げる。

それぞれがそれぞれの役割を全うして初めて、組織は「自己学習するチーム」へと変わる。 「イノベーション体質」にアップデートすることができる。

共鳴とは、越境して異なる問いが響き合うこと。 完璧に一致する必要はない。大切なのは、「同じ問いに向かっている」という意志の共鳴である。

ズレや衝突を恐れず、むしろ「問いの不一致」を原動力に変えること。 それが創造的なチームの証だ。

組織を動かすのは、指示ではない。 問いの共鳴である。

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