大きなマーケットで、競争相手が誰もいないのは最高。
競争相手がいたとしても、悪い競争相手がいるとこでは戦わないようにしよう。
それで「ブルーオーシャン」という言葉が叫ばれます。特に新規事業において、競争相手がいないことを確認する場面も見受けられます。
しかし本当に競争相手がいないことは正しいことなのでしょうか。否。もちろん間違っています。
競争相手が全く存在しないということは、それはつまるところ誰もそこで事を起こしていないということ。つまりはそれはマーケットが存在していないと解釈もできるし、ビジネスをするのに最高の場所だと判断することはできないわけです。
インターネットの普及とともに情報伝達の速度は圧倒的に向上しました。その結果、誰も気付かずに金のなる木を囲い込むことなどできないし、そんなマーケットはほぼ存在しないのです。
基本的にすべての良質なマーケットがレッドオーシャンか、かろうじてブルーオーシャンが見つかったとしても、すぐにレッドオーシャンになってしまうものです。
その前提はまず理解しなければなりません。そうつまり逆にいえば、ライバルがそこに既に存在することは、良質なマーケットである証とも捉えることができるということを。
事業創造とは、競争相手がいる前提で、その競争相手と自分たちが何が異なるのかをしっかり定義し、それをユーザに伝え、囲い込まなければならないということでもあるわけです。
優位性や独自性は機能的価値において創り出すことはできません。機能や仕様はコモディティ化しやすく、一定程度の技術革新がいきつく先は顧客が求めているわけでもない、技術者たちの自己満足に陥ります。
レッドオーシャンの中からブルーオーシャンを創り出す。その時に大切なものはビジョン、ストーリー、コンテキスト、そしてそれが体現された”体験”の積み重ねの先に作られるブランドです。
ブランドさえあれば、すべての事業はレッドオーシャンにいながらにして、それをブルーオーシャンにすることができるのです。そして、ブランドは永遠にコモディティ化しません。
顧客にどんな体験を提供し、どのような感情を抱いてもらうか。それをどう積み重ねていくか。その細やかな設計こそが、事業創造そのものなのです。
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