アイデアを閃くのは、常識や普通といわれるものの枠の外からリフレーミングして物事を見ることができるクレイジーな個人です。
最初の閃きはそれで生まれるが、一方でその1人の頭の中で考えているだけで素晴らしいビジネスモデルに仕上がることはありません。ないと断言してもいいでしょう。
その時最初にすべきことは「サウンディング」です。
あなたのアイデアが対象とするマーケットで働く人や、その分野の専門家、そして何よりもそのアイデアが解決しようとしている課題を抱え、提供しようとしている価値を受け取るエンドユーザー(最終消費者・最終受益者)たちに、話を聞くことです。
この時重要なことは「あなたのアイデアをプレゼンするわけではない」ということ。ほとんどの人はスタートアップや新規事業のアイデアを評価する方法を知りません。そのため、アイデアをプレゼンされても、正しく評価をすることはできず、なんとなくいいか、なんとなく悪いかという答えしか返ってきません。
なんとなくの感覚からではインサイトを得られることはありません。その感覚に左右されてしまったら、アイデアの事業化そして成長は遠のくというぐらいの極端な危機感を持った方が良いでしょう。
サウンディングの際に目を向けるべきは「事実」です。
・そのマーケットで働く人たちは、どのようなステークホルダーの中で、どういう利害関係を持って動いているのか。そこでどのような業界標準、業界ルールが繰り広げられているのか。
・専門家はマーケットの現在を、そして未来をどう見ているのか。そこにどのような課題を、どのような可能性を見ているのか。
・最終受益者は、現在どのような行動をしているのか。そこにどのような課題を感じ、どのような代替手段をとっているのか。
アイデアをビジネスプランに昇華させるための第一歩は、事実をありのままに受け止めることです。まず事実としっかり向き合うことが、アイデアの原石を磨き上げる最初の研磨剤となるのです。
「顧客の声」に耳を傾けることが重要なのはいうまでもありません。しかしここで気をつけなければならないことは、働く人も専門家も顧客も、自分の知っていることしか知らないということです。
スタートアップにしろ、新規事業にしろ、創ろうとしているのは未来です。誰も見たことのない未来を切り拓こうとしているのです。その未来は働く人も専門家も顧客も知らないのです。だからアイデアそのものの評価を聞いて、その意見を間に受けてしまっては判断を見誤ります。その意見は現在に基づいているのだから。
必要なのは事実から現在を明確に見定めることです。それと、アイデアの先にある未来のビジョンとのギャップを見極めることです。
そこにこそ「問い」が設定され、その問いこそがアイデアをブラッシュアップすることに繋がっていくのです。